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2019導入事例

三井金属鉱業株式会社(導入:株式会社クニエ(NTT DATA Group))

主力事業である銅箔製品の製造現場の
デジタルトランスフォーメーションに向けて
ICTの基盤としてSAP Leonardoを導入



「マテリアルの知恵を活かす」をスローガンに、創業以来140年以上にわたって非鉄金属素材分野のフロンティアとして産業分野を支え続ける三井金属鉱業株式会社。同社の主力事業である機能材料事業本部の銅箔事業部では、世界で高いシェアを誇る銅箔製品の生産性向上に向けて、実績データを有効活用するためのICTの基盤としてSAP Leonardoを導入。また、統合アプリケーションプラットフォームとしてSAP Cloud Platformを採用し、導入パートナーである株式会社クニエの支援を受けて、プロセス改善の本格的な取り組みを行った。また同社では、この新たなプラットフォームの活用を通じた製造設備保全の高度化も視野に入れており、その対応に向けた準備にも着手している。



🔸世界的なシェアを誇る銅箔製造のプロセス改善が課題に

三井グループの中核企業として、非鉄金属素材分野で広範な事業を展開する三井金属鉱業株式会社(以下、三井金属)。同社が中期経営計画「2024年のありたい姿」で掲げる「機能材料」「金属」「自動車部品」の3つの事業の中でも、機能材料分野の主力銅箔製品である厚さ1.5~5μmの極薄銅箔「MicroThin®(マイクロシン)」は、多くのスマートフォンやタブレットなどの半導体チップを実装する回路基板に利用され、グローバルで90%以上と圧倒的なシェアを誇っている。 この銅箔事業を支えるマザー工場である埼玉県の上尾事業所では、これまで生産管理や品質管理を支えるスクラッチ開発の基幹システムを15年以上にわたって運用してきたが、特にこの数年は基幹システムに蓄積される銅箔生産に関する膨大なデータをいかにして有効活用するかが課題として指摘されるようになっていた。生産技術部 IT技術担当 担当部長の平井克幸氏は次のように話す。 「世の中ではデータを活用したデジタルトラスフォーメーションが注目されていますが、上尾事業所では現場の勘や経験に頼った製造プロセスから脱却できない状態が続いていました。三井金属本社の生産技術部(2016年に設備技術、管理技術、IT技術の3部門を統合)は、昨年、工場におけるデータの活用を支援する専門部隊を組織し、この部隊が中心となり上尾事業所のICTプロジェクトを立ち上げた経緯があります」 同時に三井金属の本社では、長年運用してきたSAP ERP(ECC6.0)をSAP S/4HANAへ移行するプロジェクトが動き出している。独自開発した基幹システムの運用に限界を感じていた上尾事業所では、これを機にSAP S/4HANAに移行し、生産管理や品質管理など製造に関連する外部システムと連携させることを決定した。 「それまでのシステムでは、会計管理や物流管理などの業務は手作業での対応が多かったことから、業務の負荷を軽減し、統制を強化する意味でも、管理系の業務は本社で運用するSAP S/4HANAに統合し、製造に直結するシステムのみを上尾事業所で開発・管理する方向に舵を切ることにしました」と機能材料事業本部 銅箔事業部 上尾事業所 情報技術課 主任の冨山公章氏は語る。



平井 克幸氏 三井金属鉱業株式会社 生産技術部 IT技術担当 担当部長 兼 機能材料事業本部 銅箔事業部 上尾事業所 情報技術課 課長

 

🔸SAP Cloud Platformの活用で開発期間を大幅に短縮

三井金属の上尾事業所におけるデータ活用の取り組みで最初のターゲットとなったのは、世界的に高シェアを誇る銅箔製品の製造における生産実績データを用いた歩留まり向上だった。 本社で導入を進めているSAP S/4HANAとのシステム連携を見据える上尾事業所では、その親和性からデジタル化のプラットフォームにPaaSとして提供されるSAP Cloud Platformを採用。そして導入パートナーには、SAP関連のコンサルティングで豊富な実績を持つ株式会社クニエを指名した。クニエを選定した決め手は、SAP Cloud Platformといった最新ソリューションに関する理解・経験に加えて、1枚のデザインから具現化できる企画力とパワー・スピード、NTTをバックグランドとした情報収集能力の高さ、また属人的な組織に入り込める人柄、人望、相性にあったという。 「プロジェクトがスタートすれば、導入パートナーには製造現場に頻繁に出向いてもらうことになるため、職人気質の現場の人たちとの円滑なコミュニケーションは重要な要件でした。クニエから提案された候補者とも事前に面談し、工場の現場責任者からもOKが出たことから、タッグを組むことを決断しました」(平井氏) 具体的なプロジェクトとしては、銅箔製品の歩留まり向上のための新たな生産管理システムの導入は、2019年4月から2019年12月にかけて実施した。ここではIoT化のコアソリューションに、クニエから提案を受けたSAP Leonardo IoT、SAP Leonardo Machine Learningを採用している。 開発は既存環境のデータ調査から着手し、プロトタイプの構築・検証を経て、本番実装という形でアジャイルに進められた。ここでは、システムの部品として利用できるSAP Cloud PlatformやSAP Leonardoを活用して開発効率を高めることで、ゼロから構築する場合と比べて本稼動に至る時間を大幅に短縮できている。 「プロジェクトが佳境を迎えた時期は、クニエ側でコンサルタントや開発リソースを増強してくれたこともあり、密にコミュニケーションをとりながら、疑問点をその場で解消したり、進捗状況をこまめに確認したりしながら他システムとのインターフェース開発などを進められたことが、短期導入につながった大きな要因です。経営層への中間報告の際もアドバイスをいただき、こうした点も非常に助かりました」(平井氏) この新たな生産管理システムの導入と並行して、上尾事業所が今後の対応に向けた準備を開始したのが、IoTを活用した製造設備保全の高度化だった。SAP Leonardo IoTやSAP Cloud Platformは、ここでも設備の稼動状態の「見える化」などで大きな役割を果たすことは間違いない。



冨山 公章 氏 三井金属鉱業株式会社 機能材料事業本部 銅箔事業部 上尾事業所 情報技術課 主任

 

🔸データに基づく生産管理で歩留まりの向上に期待

上記の生産実績データを用いた銅箔製品の生産管理システムは、2020年1月から本格的な活用が始まる予定で、ここでは自動化による歩留まりの向上に大きな期待が寄せられている。 「これまで銅箔製造の加工工程は、熟練作業員の経験と勘によって歩留まりを高めてきた面は否定できません。システム化によって人への依存がなくなり、結果として人による生産効率のバラツキがなくなることが期待できます」(冨山氏) 加工工程の自動化は、人材が不足する中での適材適所の人材配置や、時間の有効活用においても効果が期待できる。当初、システム化に不安を抱いていた現場の担当者たちも、トレーニングを重ねるごとに自信を深め、現在では使いこなす意欲が高まっているという。経営陣からの注目度も高く、生産技術部主催の三井金属全社グループ活動大会でもICT化の事例として特別発表が予定されており、他事業部からも注目が集まるはずだ。



🔸上尾事業所での成果を海外の生産拠点にも順次展開

上尾事業所での成果は今後、銅箔製品の新たな生産管理システムなどの稼動実績を踏まえ、マレーシアや台湾など海外の生産拠点にも展開していく予定だ。これにより、グローバルレベルでの品質改善と生産性の向上を目指す環境が整備されていくことになる。 もう1つの課題は、今回のプロジェクトのきっかけにもなった蓄積されたデータのさらなる活用だ。冨山氏は「クラウド基盤上に保存した膨大な製造実績情報などを分析し、製造工程にフィードバックすることで改善のPDCAサイクルを回し、品質と生産性の向上に繋げていきます」と構想を明かす。 SAP Cloud PlatformとSAP Leonardoといった最先端のソリューションを用いて、ICT化や生産の自動化にいち早く舵を切った三井金属の機能材料事業本部の取り組みは、デジタルトランスフォーメーションが共通の課題となっている日本の製造業にとって、貴重な先行モデルとなるに違いない。




図:三井金属が上尾事業所で構築を進めるデータ活用基盤の概念


会社概要 三井金属鉱業株式会社 設立:1950年5月1日 資本金:421億2,946万円(2019年3月末) 売上高:連結4,977億100万円(2019年3月期) 事業内容:機能材料・電子材料の製造・販売、非鉄金属製錬、資源開発、貴金属リサイクル、素材関連事業、自動車部品の製造・販売等 https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/



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