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2020導入事例

エイチアールワン株式会社(導入:株式会社BeeX)

SAP ERPなど人事給与関連の業務を支える
システムのプラットフォームにMicrosoft Azureを採用
本番環境をわずか2日間のダウンタイムで移行

200社以上の企業に、給与計算を中心とした人事業務アウトソーシングサービスを提供しているエイチアールワン。同社は企業から受託した人事給与関連の業務を遂行する上で、SAP ERPなどのシステムをMicrosoft Azureへ移行することを決断。パートナーにBeeXを選定し、本番環境、開発・ステージング環境あわせて約250台のサーバーを移行した。中でも本番環境は2日間という極めて短いダウンタイムで移行し、業務への影響を最小限に抑えることに成功している。


🔸顧客の増加に対応するためインフラ環境をAzureに移行

「人事プロセッシングにおけるインフラ機能とプロフェッショナル・サービスの提供を通じて、顧客の安定的な事業運営に貢献する」を経営理念に、人事給与関連のアウトソーシングサービスを提供しているエイチアールワン。その顧客は大企業から中堅企業まで200社以上、ユーザー数も30万人を超える。豊富な実績を持つ同社では、これまでの経験の中で培ってきたノウハウを活かしつつ、高品質で安定したサービスを提供してきた。 同社では、給与計算システム、勤怠管理システム、社会保険システム、通勤交通経費管理システム、タレントマネジメントシステムなどを自社のインフラ環境に導入し、顧客に代わって業務を遂行しているが、ここ最近は顧客の数が増加傾向にあるという。執行役員 システム事業部門の南部広樹氏は「少子高齢化で働き手が減少していく中、企業はコア業務に人員を集中するようになりました。その結果、多くの企業が人事給与系のバックオフィス業務をアウトソースするようになったため、当社においてもお客様企業の数とサービスの提供人数が右肩上がりで増え続けています」と語る。

同社は既存のサーバーOSがサポート切れを迎えるタイミングで、インフラ環境のあり方を再検討。結果、パブリッククラウドへの移行を決定した。その理由について南部氏は「セキュリティの観点からいえば、パブリッククラウドならグローバルレベルで強化されていくメリットを享受できます。また、お客様から求められている災害対策(DR)もコストをかけずに構築可能です。さらに今後、AIやロボット(RPA)などのデジタル技術を活用していくためには、大量のデータが蓄積できる環境が必要となります。そういう意味では、コンピューティングリソースの拡張が容易なパブリッククラウドがベストだろうと判断しました」と説明する。

クラウドサービスについては最終的にMicrosoft Azureを選定した。その最大の理由は、DRサイトを国内で構築する必要があったからだという。システム事業部門 システムソリューション部 部長の関本誉志氏は「当社のお客様のほとんどは、データセンターを国内に置くことを条件にしています。パブリッククラウドを検討した2016年当時、国内に複数のリージョンを持っているサービスはAzureのみでした。加えて、Microsoftからも全面的な協力を得られる目処がついたこともあり、Azureを選択することにしたのです」と語る。


南部 広樹 氏 エイチアールワン株式会社 執行役員 システム事業部門


 

🔸わずか2日間というダウンタイムで約120台の仮想サーバーをAzureに移行

移行対象となった仮想サーバーの台数は、開発・ステージング環境、本番環境のそれぞれが約120台ずつ、合計約250台だ。 本番環境の移行で同社が特にこだわったのが、3日間のダウンタイム(システム停止時間)で全システムを一括移行することだ。その理由について佐伯氏は「当社の場合、月末から月初めにかけて給与計算業務が集中するため、システムを止められるのは事実上2月中旬の3連休に限られていました。そこでBeeXには無理を言い、3日以内のダウンタイムで移行を完了させるプランを考えていただきました」と説明する。BeeXでは当初、複数の期間に分けて実施する五月雨式の移行を考えていたが、上記の要望を受けて移行の設計と検証を行った結果、1日少ない2日間での一括移行が可能と判断。余った1日を予備とし、3連休での移行の実施に踏み切った。


関本 誉志 氏 エイチアールワン株式会社 システム事業部門 システムソリューション部 部長



 

🔸インフラ環境全体でコストを削減

運用の内製化により自社にノウハウを蓄積

Azureへの移行による効果だが、まず挙げられるのがインフラ環境にかかるコストの削減だ。開発・ステージング環境については、使わないときはサーバーを停止させておき、必要なときに立ち上げることが可能になった。また、顧客の増加についても、サーバーリソースの追加が容易になり、スピーディかつ柔軟な対応が可能になった上、サーバーの構築費用がなくなり、初期コストが軽減された。 運用面は、以前のプライベートクラウドでは外部のベンダーにアウトソーシングしていた領域の多くが自社での対応に切り替わった。そのため業務の負荷は増えているものの、今後は運用の内製化に舵を切り、自社にノウハウを蓄積していくことを構想している。

「以前はベンダーに運用を丸々任せていたおかげで、自分たちで手を出したくても出せず、ちょっとした対応に2週間近く要することもありました。これを内製化することで、かゆいところにも手が届くようになり、欲しいリソースが欲しいタイミングで入手できるようになります。また、社内のエンジニアも最新の技術に触れることでモチベーションアップにつながり、新たなサービスの構築につながっていくことが期待されます。今後は若手社員を教育しながら、技術レベルの向上を目指していきます」(関本氏) DRについては、Azureの西日本リージョンにDRサイトを構成し、BCP対策を実現している。有事の際は本番環境を西日本リージョンにASRでフェイルオーバーすることで、業務の継続が可能となった。


佐伯 真吾 氏 エイチアールワン株式会社 システム事業部門 企画室 室長 兼 経営企画部 マネージャー

 

🔸RPAによる業務の効率化やAIによるHR TechにAzureを活用

エイチアールワンでは、今回の移行で獲得したノウハウを活かし、Azureの活用範囲を拡大。基幹系システムだけでなくその他のシステムの基盤や社内のOAシステムの基盤として利用していく構想を描いている。 「今後はオープンなシステムと連携しながら、Azureを中心としたエコシステムを形成していきます。これまで人が対応してきた事務処理などをRPAに代行させることで生産性を高め、業務の効率化につなげています。また、膨大な人事関連のビッグデータとAI技術を組み合わせてさまざまな人材分析を行うHR TechにもAzureを活用できないか考えています」(南部氏)

移行プロジェクトでパートナーを務めたBeeXについては、どんなトラブルに対しても逃げずにまじめに取り組む姿勢と、2日間のダウンタイムで本番環境の移行を成し遂げた技術力、Microsoftとの調整力などを評価。今後もシステムの刷新や技術者への教育・サポート、運用効率化に向けた提案などの面で期待を寄せている。 「今回のプロジェクトは基幹系システムのAzure移行が主目的で、SAP ERPのアプリケーションに手を加えることはしませんでしたが、今後は2025年のサポート切れに備え、SAP S/4HANAへの移行も検討していきます。その際には、PoCやアセスメントを含めてご協力いただきたいですね」(関本氏) 人事業務のプロフェッショナル集団として業界の先頭を走るエイチアールワン。BeeXの支援によって実現した新たなインフラ環境は、同社の今後の成長を支える存在になりそうだ。




システム構成概要図


会社概要 エイチアールワン株式会社 設立:2009 年10月 資本金:6億345万円 従業員数:約600 名(2019 年6月26日現在) 事業内容:人事給与アウトソーシングサービス、シェアードサービスセンター一括受託サービス、タレントマネジメント、勤怠管理など https://www.hrone.co.jp/



🔸パートナー企業

株式会社BeeX





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