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保守切れが迫る海外基幹システムの刷新にS/4HANA Cloudを採用
バージョンアップの頻度をあげSAPの新機能を享受するため
Fit to Standardに挑む丸紅×丸紅ITソリューションズ


保守期限が目前に迫る丸紅は

国内外全ての基幹システム刷新を決断

 

──今回のプロジェクトに至った背景をお教えください。


寺井:当社で現在利用している基幹システムSAP ECC6.0は2007年12月に保守期限が到来するためGreenfieldで再構築するか、あるいはテクニカルバージョンアップするのか構想策定を開始しました。当社は2020年にSAP R/3 4.7からECC6.0への移行を完了したばかりでしたが、バージョンアップによる延命策にもかかわらず、複雑で大量なアドオン機能と細分化されたシステム環境により巨額のコストと3年にも及ぶ期間を費やすこととなりました。このため新基幹システムはバージョンアップの負担軽減が命題となりました。また保守運用効率の低下、AIやRPAなどの最新技術を柔軟に採用できないという課題も抱えています。グローバルに多種多様なビジネスを展開する総合商社にとって、こうした現状は競争力を低下させる大きな不安材料となります。

さらに基幹システムの再構築が必要となった場合、開発要員が集めにくいという懸念もありました。導入より20年経過したことで、現行基幹システムの開発を経験したメンバーが少なくなっており、現行仕様や大規模システム開発の知見者を集めるのが難しくなっています。この機に再構築しないと10年後、20年後には知見者がいなくなるという問題がありました。

検討の結果、テクニカルバージョンアップでは抜本的解決には至らないと判断、ゼロからの再構築であるGreenfieldを選択しました。この再構築においては、現行基幹システム同様、国内・海外をワンシステムでの構築も検討しましたが、最終的に国内と海外、そして領域ごとに分け、それぞれ最適なパッケージを選択する個別最適化方針に決定しています。

 

──丸紅ITソリューションズを選んだ理由を教えてください。


寺井:最も大きな理由は同社の提案力です。大手ベンダーとも比較検討しましたが、丸紅ITソリューションズは、コスト、工期、プロジェクトの進め方などに関する当社の要望や制約・課題に対して柔軟に対応し、かつ実現性の高い提案をしてくれました。

次に同社が現行基幹システムの導入と長年に亘る保守の経験を持つことです。前述の大規模化した基幹システムバージョンアッププロジェクトを同社が見事に完遂したことも高く評価しています。これらの経験で培ったSAP製品への知見と商社業務への知見によって、SAP標準機能を活かした業務運用について、顧客目線でコンサルできる能力に長けており、本プロジェクトの上流工程ではとても助けられました。海外現地とのコミュニケーションについても、海外展開の実績を持つ同社であれば安心できると考えました。

 




バージョンアップで最新機能を享受すべく

S/4HANA Cloudを標準で利用する

 

──今回S/4HANA Cloudを選択されましたが、その理由を教えてください。


寺井:現行基幹システムがSAP製品であることから、現行資産を活かしやすいという理由でSAP製品を選択しました。SAP製品以外のソリューションも検討したものの、各国の法制度に対応するグローバルパッケージであるSAP製品導入が最も効率的と判断しました。さらにSAPの方針であるバージョンアップによる最新機能の提供についても大きなメリットと感じました。

一方、S/4HANA Cloudを選択した場合、従来以上の頻度でバージョンアップを実施する必要があり、先程述べたようにコスト・期間などの負担に懸念がありました。しかし、本プロジェクトでは国内・海外・領域ごとにシステムを分けており、それぞれ可能な限り標準での導入を行うことで、バージョンアップのコスト・期間を抑えられると判断しました。SaaSであるS/4HANA Cloudには手を加えず、外側にアドオンを開発するSide by Side拡張を用いることで、バージョンアップ時に影響を与えないようプロジェクトを進めています。現時点でバージョンアップ頻度は未定ですが、可能な限りSAPによる最新機能を享受したいと考えています。

 

──プロジェクトは要件定義が終わったとお聞きしましたが、どのように進めましたか?


寺井:本プロジェクトは、現地法人25、海外支店1、事業会社8、合計34拠点の導入を予定しており、これらを欧州・米州・アジアの3地域に分け、欧州から段階的に進めています。

今年4月には欧州の要件定義が完了しました。業務プロセスをいかに標準に寄せるかという点に苦労しましたが、丸紅ITソリューションズから多くの提案を頂戴し無事完了できました。同社はロンドンでの会議やリモートでの会議でも前面に立ち、欧州のユーザと共に標準へ寄せるため取り組んでくれました。要件定義でユーザ要望によるアドオンが膨らむことを予想していましたが、結果的には当初想定よりも削減することができました。丸紅ITソリューションズ、欧州ユーザと我々でFit to Standardの共通認識を持って進められた成果と考えています。

 


欧州は要件定義から導入フェーズへ

続く米州・アジアへの展開、単体会計システムへも

丸紅ITソリューションズの支援に期待    

 

──プロジェクの今後について教えてください。


寺井:現在、欧州への導入中ですが後続の展開を考慮しつつ各タスクを実施しています。まずは米州、アジアへと効率のよい展開を実現し、きっちりと計画通り完了したいと考えています。また開発・移行フェーズにおいては、テスト自動化ツール(Tricentis)、移行ツール(Syniti)を活用することで、想定通りにコスト・期間の圧縮効果が出ることを期待しています。

2025年度には今回の新基幹システム刷新の中で最大の単体会計システムの再構築を開始する予定です。S/4HANAをオンプレミスで導入するのか、またはCloudを採用するのかといった基本方針から十分に検討したいと考えています。

 

──S/4HANA Cloudの導入を検討している方へ、メッセージをお願いします。


寺井:プロジェクト開始当初、現行基幹システムに多数のアドオン機能が存在しているため、SaaSへの移行に不安を抱えていました。しかし、プロジェクトが進むにつれ、S/4HANA Cloudへの知見が増え、不安は解消しつつあります。

また、S/4HANA Cloudの導入はSAP標準での導入がマストだと考えています。このため業務プロセスの標準化に対して、ユーザの理解を得ることがポイントとなります。新たなシステムの導入は、慣れ親しんだ現行システムと比較されますが、S/4HANA Cloudの導入で新機能が利用できる点や、サービス連携が容易になる点、UIがユーザフレンドリーになる点などを丁寧に説明し、早期にユーザを仲間に引き込むことが大切だと思っています。

 

──丸紅ITソリューションズへの今後の展望を教えてください。


寺井:本プロジェクトではこれまで多大なサポートをいただき感謝しています。開発フェーズでも、当初ウォーターフォールでの開発を計画していたものの、想定以上に標準化を進められたため、丸紅ITソリューションズからプロトタイプ方式での開発を勧められました。結果、ユーザに画面を確認してもらいながら設計・開発することで、標準機能による業務運用への不安を軽減することができました。今後は、バージョンアップを含む、保守運用も適切にサポートをいただきたいと思います。また単体会計システム導入についても、丸紅ITソリューションズには知見・経験を活かし、当社にとってベストな提案と木目細やかな支援をお願いしたいと考えています。




導入企業

 

丸紅株式会社

創業:1858年5月

設立:1949年12月1日

資本金:262,947百万円

従業員数:4,379名(丸紅グループの従業員数 46,100名)




パートナー企業

 


丸紅ITソリューションズ株式会社

URL:https://www.marubeni-itsol.com/



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