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パブリック型ERPを用いて「Fit to Standard」を実現し
ものづくりとサービスに120%注力できる企業へ


導入の背景

 

三和スクリーン銘板がプロジェクトを開始したきっかけは「システムの老朽化」であった。既存の基幹システムはスクラッチ開発で10年以上運用を続けており、さまざまな問題を解決するにはシステムの根幹を改修しないと解決できない状態になっていた。また、その保守管理、改修を全て社内で行うのは便利である反面、システム仕様の複雑化や業務運用の属人化、或いはこれに伴う業務の非効率化を引き起こしていた。海外拠点でも同様のシステムを利用しているので、海外からの改修依頼に対してもこれらが阻害要素となり、改善の妨げになっていた。社内で開発を進めてきた基幹システムは、三和スクリーン銘板の全業務ノウハウが詰まっていると言っても過言ではない。従って、改修を外部委託するという面でもハードルが年々高まっていた。

「私が中心で開発を進めてまいりましたので、どうしても私がいないと細かい仕様までわからないということがあります。BCPの面から見てもリスクが高いのではないかと感じていました」とプロジェクトマネージャーを務めた福田氏は振り返る。

 


プロジェクトの狙い

 

同社がプロジェクトの目的として掲げていたのは下記の四点である。

1.「 モノ作り」に注力できるように間接業務を標準化、効率化する。

2. 生産・販売の現状を正確に把握できるようにグループの「今」を見える化する。

3. 経営をスピード化できるように管理会計を実現、強化する。

4. 原材料、工程など製品の骨格を形作る最低限のデータを一元管理する。

福田氏は「今回SAPを導入することで目的を全て達成できるとは考えていませんでした。あくまでもこのプロジェクトで改善の土台、SAPというものの中にデータを格納できるようにすることが改善の第一歩と考えて進めていました」と語る。福田氏が重要視したのは、ITの利用者の意識を変えることである。ITというのは、あくまでもただの道具であり、その道具をいかに利用するかというところにユーザーの意識と技術が求められるからである。

 


SAP S/4HANA,Public Cloud editionを選んだ理由は「標準化」

 

選択にあたる第一の理由は「標準化」への期待である。SAPにあわせてデータを入力することにより、ある程度標準化できるだろうという狙いがあった。

いわゆる「Fit to Standard」だ。また、多数ある海外拠点も将来的に統合していけるという点も大きな理由だ。SAPにデータを入れることで、標準化されたデータが同じデータベースの中に格納されることになる。海外も含めて同じ形でデータを格納できる、また全ての情報が会計情報に紐づけて評価できる、以上に期待してSAPを選択した。

 


新しい仕事をデザインする手法「Fit to Standard」

 

ERPの合理的な導入手法として、昨今広く推奨されている「Fit to Standard」。この狙いは「企業の基幹業務における情報共有と意思決定の標準化/合理化」にある。全社の仕事において共有される経営/業務情報と、その判断方法を同ソリューションに合わせて標準化、或いは自動化することで、情報技術を活用した新しい仕事の仕方をデザインするわけである。ここで「Standard」の意味を誤解してはならない。この要点はあくまでも「情報」であり、現場の運用における匠の技術をFitすることまでは意図していない。

 


匠の技術をデザインする仕組みの構築~システム構成

 

今回のシステムは中心となるSAP S/4HANA Cloudと、外部システム3つから構成されている。このうち外部システムは、一部の入力業務や帳票印刷を行う補助的なシステム、ハンディターミナルを使った入出庫のシステム、生産実績などを入力するタブレットシステムだ。

「データの持ち方としてはスタンダードにあわせるけれど、そこに入れるエントリー方法については柔軟性があってもいいのではないかと考えました」と福田氏は語る。将来的には運用まで全てあわせる「Fit to Standard」が実現するかもしれないが、一足飛びにそこへ向かうのは難しい。段階を追って、その方向に進めていく形が現実的だというのは、自然な考えだろう。




 

SAPから学び、組織と業務運用を育てるプロジェクトポリシー

 

プロジェクトの要点は「ITの導入」ではなく「ITの学習」であると福田氏は振り返る。これからは、従来のERPプロジェクトの様に、「現在の仕事やシステム機能」と「新しいシステム」のフィット&ギャップをするのではない。SAP S/4HANA Cloudに備えられた一般的な仕事の運用、或いは情報データベースを習得して、現場の皆が情報システムを活用する意識と技術を高めることを狙うべきである。そして新しい仕事の仕方をデザインして、会社全体の生産性を追求する。企業もヒトも変わり続けることが使命である。同ソリューションは変わり続ける機会そのものであると言っても過言ではない。


 

クラウドと共に発展する導入後の生産性

 

同社は、蓄積された情報を活用して今後更なる業務運用の自動化を進めると共に、この仕組みを海外に展開することを計画している。その結果、会社全体が「ものづくり」そして「お客様サービス」に120%注力できる会社であり、組織になることを目指している。加えて、同ソリューションはこれから10年に渡り目まぐるしく発展するIT技術の恩恵を受け入れる結束点であり続けるであろう。株式会社三和スクリーン銘板の挑戦がここに始まった。




導入企業

 

株式会社三和スクリーン銘板

設立:1979年5月26日

資本金:4,200万円

従業員:1,484名(単体373名)※2021年9月

事業内容:各種家電製品のパネルを企画・製作、自動車のエンブレム等を企画・製作




パートナー企業

 


株式会社アイ・ピー・エス

URL:https://ips.ne.jp/



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