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2021年導入事例

あゆみ製薬株式会社(導入:株式会社JSOL)

SAP ECC6.0のEOSを受け、JSOLにS/4HANAへのマイグレーションを依頼。
コロナ下の全オンライン体制でプロジェクト完遂

設立以来DXに積極的に取り組んできたあゆみ製薬は、SAP ECC6.0をベースに社内の業務アプリを連携させて活用してきた。しかしSAP ECC6.0は2027年末にEOSを迎えるため、S/4HANAへの移行を決定。S/4HANAの知見、実績を持つJSOLにプロジェクトを依頼した。



仮題

  • SAP ECC6.0のサポート終了する2027年末までに新しい環境へ移行する必要

  • ほぼすべての業務アプリがSAP ECC6.0で連携しているため、確実な移行は必須


解決

  • SAP ECC6.0の後継製品S/4HANAへの移行を決定

  • S/4HANAの知見、実績を持つJSOLに依頼


効果

  • SOL独自開発のアセスメントツールを用いて影響度を正確に分析し、計画を立案

  • リモート体制でのリハーサル・テストを実施し、本番移行に備えた。

  • コロナ下でも、JSOLが率先してあゆみ製薬、他のベンダーとコミュニケーションを取り、計画通りにプロジェクトを完遂



🔶設立以来積極的にDXを推進、ICTシステムもゼロベースで構築

 参天製薬と昭和薬品化工の抗リウマチ、医科事業を継承して2015年に設立されたあゆみ製薬。「あゆみ」という社名には「すべての健康を願う人々が苦痛なく、自らの足であゆみを進めていただけるように」という思いが込められており、社員が明るく楽しく元気よく仕事ができる環境を整備し、笑顔を広げていくことを社風としている。

 また設立以来DX(デジタル変革)にも積極的に取り組んできた。あゆみ製薬の設立時にあたって、ICTシステムをゼロベースで構築した。このことが、後のDX推進の土壌となっているとロジスティック&システム本部 本部長 執行役員の細川 民雄氏は説明する。

 「ビジネスの変化に柔軟に対応できるような環境の整備は、企業にとっては必須なこと。一から作り直したことで、製薬会社としてあるべきICTシステムの設計が容易になり、結果的にDXを進めやすい環境が生まれています」(細川氏)

 例えば、すべてのシステムの情報が連携できることを想定して、システム全体を設計していた。これにより、「MES(製造実行システム)やWMS(倉庫管理システム)などさまざまなシステムの情報を、ダッシュボードやレポート機能で迅速に得られ、スピーディーな分析や意思決定が可能です」と細川氏は語った。




左)あゆみ製薬株式会社 ロジスティック&システム本部 本部長 執行役員 細川 民雄 氏

右)あゆみ製薬株式会社 ロジスティック&システム本部 本部長付 福原 清剛 氏


 

🔶DXの基盤であるECCをS/4HANAにマイグレーション

 あゆみ製薬の経営を支える多種多様なICTシステムの基盤に使われていたのが、SAP ERP Central Component 6.0(以下、ECC)だった。ECCを中心として、販売管理や生産計画管理、MES、WMS、予算管理、ハンディーターミナルシステム、小口現金システム、ワークフローなどの主要な業務アプリを稼働させていたのである。

 しかしECCの保守サポート終了(EOS)は2027年と発表されていたため、あゆみ製薬では2020年初頭にS/4HANAへのマイグレーション(移行)を検討した。ECCの後継製品であるS/4HANAには、高速なインメモリーデータベースを採用し、機械学習などの新しい技術との親和性が高いといった利点がある。

 ECCのEOSまで5年以上の猶予があるにもかかわらず、早期の移行に取り組んだ理由として細川氏は「期限の間際になってから移行すると、有能なエンジニアが確保できない可能性がありました。また、日本国内におけるECCからS/4HANAへの移行事例もほとんどない状況であったため、いち早く移行することで知見を得られるという利点もあります」と説明する。

 その背景を踏まえたうえで、あゆみ製薬のエンジニアを担当するロジスティック&システム本部 本部長付 福原 清剛氏は「当社のECC上で稼働する業務アプリは年々増え続けていますが、2020年は新しい業務アプリの開発が一息ついた時期だったのでタイミングが良かったといえます。業務アプリの新規開発とS/4HANAへの移行が重なると負担が重くなりますから」と説明する。

 その後、移行業務を依頼する企業として選ばれたのが、S/4HANAへの知見も豊富なJSOLだった。

 「既存のECC環境を構築したのがJSOLでしたから、安心感はありました。JSOLは、SAPに関する体制が充実しており、メンバーも高いスキルを持っています。当社とのコミュニケーションもスムーズに取れることも認識していましたので、信頼しておまかせすることにしました」(細川氏)


 

🔶クラウド基盤をAzureに統一してDXを加速

 あゆみ製薬ではそれまでECCを、パブリッククラウドサービス上に構築していた。しかしこれを機にクラウド基盤をマイクロソフトのAzureに変更することも決定した。あゆみ製薬では、Microsoft 365を始め、マイクロソフト製品での統一を進めていたこともあり、Azureの活用によって、DX、そしてビジネス環境の変化に柔軟に対応できるようにしたいと考えたためである。

 JSOL プラットフォーム事業本部の北見 佳史は「JSOLは、Azure上でのSAP S/4HANA

やSAP ERPなどSAP製品の構築の実績を多数持っていました。そこから得られた知見やノウハウに加えて、SAP社やマイクロソフト社と強いコネクションを活用することで、S/4HANAのベストプラクティスであゆみ製薬にご提案することができました。」と説明する。


 

🔶正確なアセスメントと入念なリハーサルで確実な移行を

 JSOLは2020年3月から4月にかけて、S/4HANAへ変更するにあたっての影響度を探るアセスメントを行った。このとき、JSOLが独自開発した影響度調査ツールによって、システムに改修が必要な点が明確になり、サイジングによって必要となるサーバーのスペックや費用なども見えてきた。

 報告を受けた福原氏は「影響するアプリ数は想定よりも少ないものでした。JSOLからは、スケジュールもコストも想定内に収まりそうなので安心してくださいと説明を受けました」と語った。

 アセスメント後の5月からはマイグレーション方式での移行の検証、Azure上でのテスト環境構築、2回にわたるリハーサルや各種テストを行った。そして12月の年末休暇に本番移行作業が実施された。初日にはAzureへの移行、2~3日目にはS/4HANA化を終え、4日目に事後作業で完了。アセスメント時は5日間と想定していた移行作業は、複数回のリハーサルと移行手順精緻化により3.5日間に短縮された。

 しかし利用者側でコントロールできない部分があるクラウドサービスでは、想定しなかった課題が発生することがあった。本番移行時に「想定した性能が発揮できない」というトラブルも発生したが、それでもJSOLは、すぐにドイツのSAP社に問い合わせを行い、わずか2時間程度で解決策にたどり着き、作業を滞りなく進めることができた。

 当初の見込み以上に順調に進んだことについて細川氏は「最初のアセスメントで、影響度を正確に分析できていたので、全体の目途が立てられました。リハーサルも綿密なシナリオを用意して2回実施しました。確実に成功させようというJSOLの徹底した作業を見ながら、『これなら失敗するはずがない』と安心していました」と振り返る。


 

🔶コロナ下でもJSOLも他ベンダーを主導してプロジェクトを完遂

 順調に進んだプロジェクトだったが、2020年はコロナの影響を受けたこともあり、プロジェクトはオンラインでの議論を中心に進められた。しかしあゆみ製薬のECCは数多くの業務アプリ、インフラと連携していたため、プロジェクトは他の多数のベンダーと協力して進める必要があった。

 そこで営業系のシステム(レポート、ダッシュボード)はあゆみ製薬、MESやWSMなど一部のシステムについてはJSOLが各ベンダーと直接連絡を取り合うという具合に双方協力することで、解決を図った。JSOLが各ベンダーとやり取りしたメールについては細川氏たちがCCで受け取り確認し、必要に応じて積極的に議論に参加するという形で進めていった。会議はもちろん、リハーサルやテスト、年末の本番移行も、すべてをオンラインであったが、より良い方法を両社で模索しながら、効率的に推進した。

 JSOL 法人ビジネスイノベーション事業本部 居城 総一は「プロジェクト全体がうまく回ることが重要なので、成功させるために必要なことは積極的に引き受けようと臨みました。対面で相談するときにはまず日程調整する必要がありますが、Teamsの活用が増えたことで、コロナ前よりも容易にコミュニケーションが取れるという利点もありました」と語る。

 プロジェクトに対するJSOLの姿勢について福原氏は、「ベンダーからの問い合わせを私たちが中継して伝言するのと違って、ベンダー間で直接やりとりしたので、非常に効率よく進みました。JSOLの協力的な姿勢は、当社の気風に合っていました」と評価している。

 2021年1月5日よりS/4HANAは稼働を始め、その後はトラブルもなく運用している。細川氏は「S/4HANAが安定稼働したことで、次のステップへ進む道筋が見えてきました。そして今は、何に投資することがDXにつながるか、何をすればメリットが生まれるかを見極めているところです。そのための情報収集を進めている段階です」と述べた。


前列左から、あゆみ製薬株式会社 福原 清剛氏、細川 民雄氏、JSOL 居城 総一

後列左から、JSOL 山崎 貴満、北見 佳史、米原 正道




<< 企業情報 >>

あゆみ製薬株式会社

本社所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座四丁目12番15号 歌舞伎座タワー19階

創業:2015年

事業内容:抗リウマチ薬、解熱鎮痛剤を中心とした医薬品の製造・販売など

WEBサイト:https://www.ayumi-pharma.com/



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