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経理領域にSAP ECC6.0を導入、他領域はほぼスクラッチ開発で基幹システムを
導入してきた住友ゴム工業さま。この度、全社かつグローバルでSAPシステムを導入することに
決定されました。そこでプロジェクトを成功させるために、まずは要件定義フェーズへ入る前に
クリアすべきポイントを相談しに来られました。





JSUG宇佐美:海外拠点にS/4HANAを導入する際、国内の経理部門が定めた勘定科目コードに合わせる方針を伝えたところ、米国の導入ベンダーから反対にあいました。理由はロジ系のプロセスをテストして正しい仕分が発生する検証が必要で、時間がかかるという理由でした。最終的には、連結の時にS/4HANAの中でコードマッピングするという方針になり、S/4HANA標準テンプレートのChart of Accountsを利用することにしました。冒頭でお話した、Chart of Accountsの定義というのは、S/4HANAをFit to Standardで導入する場合、S/4HANA標準テンプレートのChart of Accountsを採用すべきであるということです。もちろん国ごとにローカライズが必要なので、そこも事前にクリアにする必要があります。Chart of Accountsを新規に作ると、様々な検証が発生します。だからこそ、海外展開を視野に入れているのであれば、S/4HANA標準テンプレートを採用するのか、SAP社やベンダーとよく話し合ったほうがよいです。
JSUG野上田:少し補足すると、SAP社のベストプラクティステンプレートは50ヵ国語に対応している一方で、そのまま使えないケースもあり、その場合、ベンダーの持つテンプレートを使うという考え方もあります。SAP社のテンプレートをそのまま使うか、ベンダー提供テンプレートを使うかは、最初によく議論すべきポイントです。

JSUG宇佐これによってプロジェクトの進め方とか検証とかが変わってくる。

住友ゴム・橋口氏:私達はA社のパートナーが持つテンプレートをベースに話を進めています。SAP社のベストプラクティスとはちょっと違うのかなと違います。

JSUG野上田:実際にそれで走り出したら、グローバル展開においても、全部A社のテンプレートをベースにしなきゃいけない。

住友ゴム・根本氏:よくよく検討が必要ですね。






住友ゴム・徳毛氏:実はもうひとつ悩んでいることがあります。シェアードサービスセンターを立ち上げるのですが、これまでそうした概念が私達の会社にはありませんでした。皆さんはどのように運営をしているか教えてください。
JSUG宇佐弊社グループは、経理・人事領域をメインにシェアードサービスを実施しています。販売管理の中でも請求管理など一部業務もシェアードサービス化しています。また連結決算は本体の経理部門が実施し、単体の決算までは基本シェアードサービスで管轄しています。

JSUG松田:経費精算はシェアードにし、人事や給与計算といった手続き関連をアウトソースする会社もありますね。
JSUG上原:弊社グループは与計算についてはある意味でシェアード化しています。これは今のところ国内での話です。
JSUG爲國:弊社グループは数年前に、本社、支店、工場に分散していた経理業務を1カ所集めようという動きがあり、グループ内のシェアードサービスセンターを作りました。メインは経理財務と労務で、最近は総務も対応しつつあります。海外は対象外です。
住友ゴム・徳毛氏:シェアードサービスセンターによって共通業務を集約すれば、業務のスリム化につながると考えていました。こうしてお話をお聞きすると、業務スリム化のような課題はあまりないのでしょうか。
JSUG松田:課題としてありますね。事例としてプロジェクトビジネスを多く手掛けている会社などで、プロジェクトに絡む業務はシェアードで管轄している。複数のプロジェクトにおける手配業務などを、プロジェクト毎ではなくシェアードで集中して行っています。
JSUG宇佐例えば子会社に経理部門に一人しかいないといった場合、繁忙期に風邪引いたらどうするの・・?といった問題があるものの、2人に増員するのは難しい。シェアードにすることで、誰かが休んでもサポートできますし、メリットは大きいと思います。
一方でシェアードを実現した場合、これまで経理を行っていた人をシェアード側に連れてくるのか、それとも別の仕事をしてもらうのかも考えなくてはなりません。日本企業ですから、海外のように「あなた要らなくなったのでさようなら」は出来ません。業務スリム化を進めすぎると、進めている本人すら「私、クビになっちゃう?」とネガティブになる場合すらあります。だからこそ業務スリム化をどういうメッセージで発信するかは、とてもセンシティブな問題ですよね。
住友ゴム・徳毛氏:実はいま、侃々諤々の議論になっています。トップも、ただ業務を集約し効率化を目指すだけではダメといっています。例えば業務集約のその先に、エンドツーエンドの実現などの想いがあります。
とは言え、当社は売上の8割を占めるのがタイヤ事業で、「事業プロセスをエンドツーエンドで、部門を跨いで見える化」と言われても、生産、SCM、営業といった領域毎に縦割りになりがちなことから、全部理解している人は限られている。どういう組織を作るべきか悩んでいます。
JSUG宇佐シェアードは基本的に、その専門性と効率性を追求する組織です。オペレーション業務を徹底的に低コストで行うことになります。ここに戦略的な提案を含めてしまうと、立ち位置が微妙になります。機能子会社もそうですが、やはりコストを注目されますよね。「コストダウンを中心にBPRを考える組織」だと、大局的に見るということも考えられますが、小規模な改善活動が中心となり、大胆なBPRは難しいかもしれません。むしろ経験上、横串で見られるのはIT部門の人間です。例えばSAPの導入で、営業から生産、購買から出荷まですべて動かさなくてはなりません。それをコーディネートするのがコンサルであり、コンサルのナレッジを継承し、社内でBPRをすすめていくのがIT部門の次世代業務というわけです。IT部門の人が育つことで、会社全体のエンドツーエンドのプロセスの理解が深まります。すると従来は「要求された内容をプログラミングする」価値観でしたが、これからは「ERPのコンセプトに合わないのでダメですと伝えられる」価値観も持てるようになります。IT部門が業務部門とERPを理解し、全体最適の中でうまくやっていくかという視点に変えられればとも思いますが…。それはシェアードの役割ではなく、私達IT部門の役割なのだと私は思います。
住友ゴム・徳毛氏:おっしゃる通りですね。アドバイスありがとうございます。





住友ゴム・橋口氏:まだまだお聞きしたいことがたくさんあります。特に私達は海外拠点を多く持っているので、このあたりの知見をお聞きしたいです。また是非、機会をいただければと思っています。
住友ゴム・水野氏:ERPを入れる目的は、ある意味、会社の向かう方向と同じと思っています。だからこそトップからメッセージを発信してもらわなければいけないですね。引き続き、皆で頑張ろうと思います。
住友ゴム・徳毛氏:私の目下の課題「シェアードオフィス」実現は険しい道だというのが分かり辛かったです(笑)。また横串はIT部門で、というお話がとても斬新で、なるほどと思いました。うちにどう当てはめられるか、考えていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
住友ゴム・根本氏:ありがとうございました。とても有意義な時間でした。モヤモヤしていた部分がスッキリしました。新たなモヤモヤも生まれましたが(笑)今度は取材以外の場でSAPさんもいない空間でお話したいです(笑)。



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