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信頼の伴走支援で実現した
SAP S/4HANAの安定稼働と
データ最適化戦略の舞台裏

業務全体の生産性を上げるために、“安心して使い続けられる基幹システム”を目指して

 

切削工具を中心に、工作機械や測定機器、産業機器など多彩な商材を国内外の製造業の現場へ届けてきた老舗商社、株式会社NaITO。戦後間もなく機械工具卸商として歩みを始めた同社は、現在では国内外に拠点と販売ネットワークを持ち、ものづくりを支える専門商社としての地位を築いている。

同社のような業務を展開する商社にとって、基幹システムは企業活動の生命線そのものと言える。見積から受発注、在庫・物流管理、請求・回収に至るまで、わずかな滞りも取引先やクライアントの信頼を損なう可能性があるため、「スピードと正確性」が最重要だ。そうした中でNaITOは2021年6月、従来利用していたIBMのAS/400をSAP S/4HANA 1909へとリプレイスし、稼働を開始した。背景には、レガシーシステムを保守できる人材の減少という課題があった一方、インメモリ型データベースによる高速処理は、業務効率化と経営判断の迅速化に直結する。次世代ERPの導入は、同社にとって未来を見据えたデジタル基盤への投資でもあった。

しかし、運用開始の準備段階からシステムは予想外の事態に直面する。想定を上回るデータ増加によりSAP HANAのリソースが逼迫し、実行時間が長くなる、レスポンスが返らないなど、基幹システム全体のパフォーマンスが慢性的に低下したのだ。DBサーバーのメモリサイズを256GBから512GBへと緊急スケールアップする対応を迫られたものの、このままでは将来的に再び同じ事態に陥る可能性がある。しかも次に増設となれば、コストは倍増する恐れがあった。管理本部・デジタル企画室長の山内宝氏は、当時の状況をこう振り返る。

「例えば弊社の営業部では、お客様とFAXで見積書や注文書のやりとりをします。それを手入力で基幹システムに登録するのですが、旧システムよりもレスポンスが遅く、現場のストレスにつながっていました。また常に『次はいつ逼迫するのか』という不安があり、落ち着いて運用に集中できない状態でしたね」(山内氏)

実際に現場では、伝票発行でクライアントを待たせてしまうケースも起きていたという。こうした緊急対応のリスクを抱えたままでは、安定運用とは言えない。運用を持続させる鍵は、SAP HANAデータベース上のデータをいかに効率的に管理・削減するか、つまりデータを最適化する必要があった。

 

 

「Paples」導入から続く信頼関係、際立ったNHSの伴走支援力

 

こうした状況の中、NaITOが相談したのはNHSだった。両社の関係は2015年にさかのぼる。電子帳簿保存法への対応を見据え、NaITOはNHSが展開する電子帳票システム「Paples(パピレス)」を導入。当時、同法は今ほど注目されていなかったが、NHSは先を見据えた丁寧な提案と運用までの伴走支援を行い、NaITOは最小限のコストと負荷でペーパーレス化と法対応を実現した。その後も、PaplesのインターネットFAX連携やSAPシステム連携を通じて電子帳票の活用範囲を着実に拡大してきた経緯がある。こうして築かれた厚い信頼関係が、今回のプロジェクトの土台となった。

データアーカイブは、古いデータを外部ストレージに退避させながら、SAPシステムから直接参照できる状態を維持する。一方、データエージングはSAP HANA NSE(SAP HANAネイティブストレージ拡張)機能を活用し、低頻度データをディスク上に移動させることで、物理メモリを消費せず必要時には即座にアクセスできるようにする。

これらの手法は、新たな製品購入や大規模なハード増設を必要とせずSAPシステムの標準機能により、運用コストを抑えながら基幹システムを持続可能な状態に保てる点が大きなメリットだ。さらに、豊富な導入実績に基づく提案力と、真摯かつ迅速なサポートもNaITOにとって安心材料となった。当時のNHSの対応について、管理本部・デジタル企画室ジュニアマネージャーの赤羽俊治氏はこう語る。

「データのアーカイブやエージングを行う上で、実際にどのくらいデータ容量を削減できるのか、具体的な見積もりをしっかり出していただきました。弊社の要望に対し、NHSさんは短期間で的確な回答を出してくれる。提案からプロジェクト推進に至るまでの対応力のきめ細やかさは、NHSさんのソリューションを採用した最大の理由です」

 

 

まずは問題の可視化から、“健康診断”で状況を突き止める

 

「SAPデータアーカイブ&エージング」によるデータ最適化の第一歩として実施されたのが、NHSの「健康診断ソリューション」だった。SAP HANAメモリ逼迫の原因を数値で可視化し、最適な対策へと導くプロセスである。当時、NaITOではSAP S/4HANA 1909のサポート終了に伴うバージョンアップも視野に入れており、その影響調査や事前準備事項の整理という観点からも、この診断は有効だった。

診断では、SAPシステムの設定値や利用状況について推奨設定値の妥当性など、多角的な分析を実施。その結果、変更履歴文書ではCDHDRテーブルが8.9GB、CDPOSテーブルが53.0GB、財務会計伝票ではBKPFテーブルが1.7GB、BSEGテーブルが8.5GBに達していることが判明し、対策の方向性が明確になった。

その後のアーカイブ実施により、変更履歴文書はCDHDRが8.9GBから4.1GB、CDPOSが53.0GBから27.2GBへとほぼ半減。財務会計伝票もBKPFが1.7GBから1.3GB、BSEGが8.5GBから5.4GBに圧縮され、データベース全体で10%以上の整理を達成した。心理的にも「逼迫しない基盤」が現実のものとなり、山内氏は「逼迫する状況は今後発生しないと思う。安定稼働を実現できたことが、プロジェクトの最大の効果」と胸を撫で下ろした。

 

 

成功の秘訣は「ターゲット」の明確化にあり、安定稼働から、 “次の一手”へ

 

今回の取り組みにより、NaITOの基幹システムは安定稼働への道筋を確立した。プロジェクト成功の要因について、山内氏はこう振り返る。

「弊社の場合、まずは業務に大きな影響が出ない財務会計データから着手したことが非常に大きかったと思います。もしロジ関連も対象にしたら、アドオンもありアーカイブやエージングしようとすれば、データが参照できなくなり、業務が立ち行かなくなる。標準機能で構築した財務会計データをターゲットとしたことが、スムーズな進行につながりました」(山内氏)

もっとも、NaITOの挑戦はこれで終わりではない。NHSを伴走者として指名し、現在はロジ系データのアーカイブや、アドオンプログラムのパフォーマンス改善に向けた検討が進行中だ。さらに、来たるSAP S/4HANAアップグレードを見据え、データ基盤をクリーンに保ちながら、要件定義や開発設計といった本格フェーズへ移行している。赤羽氏も「今回のアーカイブ/エージングによって、ロジ関連データの対応策など、システム周りのさまざまな項目を検討する時間を確保できた。NHSさんから学んだ方法論やノウハウは、次のプロジェクトにも活かせるはず」と語る。

運用と並行して最適化を進め、トラブルを未然に防ぎ、次の一手を準備する。変化の激しい時代において、ITシステムに求められるのは“稼働していること”ではなく、“稼働し続けられること”だ。Paples導入以来の信頼関係を土台に、NaITOはその体制を着実に築き上げている。


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自社導入


株式会社NaITO


創業:1945年12月 設立:1953年1月

資本金:22億91百万円 従業員数:連結319名

単体307名(2025年2月28日現在)※臨時従業員は除く。

パートナー企業


日鉄日立システムソリューションズ株式会社


URL:https://www.nhs.co.jp/sap/?media=jsug

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