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RISE with SAPで動作する1,600本のアドオンをクリーンコア化する
NECのDX施策「G1モダナイゼーション SAPクリーンコア化」PJ
AWSの3つの生成AIサービスによる作業効率向上で成功を目指す

SAPシステムのクリーンコア化でモダナイゼーションを目指す

 

 NECは現在、同社の「クライアントゼロ戦略」、すなわちNEC自身をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践する同社の戦略の一環として、DX施策「G1モダナイゼーション SAPクリーンコア化」プロジェクトに取り組んでいる。これまで同社の基幹システムは、アドオンの影響やコスト・期間などの制約から、必要最低限のバージョンアップに留まっており、SAPから提供される最新ソリューションを利用できなかった。NECでは、急速に変化する経営環境やデジタル化の進展に対応するため、組織やプロセス、ITシステムなどを包括的に再構築する取り組みをコーポレート・トランスフォーメーションとして進める中で、基幹システムに採用したSAPのバージョンを常に最新に保つことが必要と考え、最新化工数を最小化すべく、同プロジェクトは開始された。

 なお水野氏が「このプロジェクトは、同様の課題を抱える企業に対しても展開可能なソリューションとして位置づけています」と語るように、この取り組みは、NEC社内だけに向けたものではない。この取り組みにおいて蓄積した成功体験、ノウハウを活かし、すべての企業のDXを前進させることも、プロジェクトの大きな目的なのである。そうNECが推し進めている、変革を成功へ導く価値創造モデル「BluStellar」の考えそのものなのだ。

 


多くのアドオンのクリーンコア化作業を生成AIの活用で加速させる

 

同プロジェクトでは、すでにRISE with SAPへの移行が完了しており、続いて行われるのはアドオンのクリーンコア化作業だ。NECでは約1,600本の既存アドオンが存在し、さらに200の周辺システムも稼働している。アドオンに関してはプログラムの書き換えやテストなどに大きな工数がかかるため、DXプロジェクトの完了目標である2027年までに、1,600本すべてのアドオンをクリーンコア化することは困難と試算された。

 そこでNECが考えたのが、生成AIの活用だ。生成AIを利用し、既存アドオンの仕様書やコードのクリーンコア化対応を行えば、工数を大きく削減でき

ると考えたのである。こうしたクリーンコア実現に向けた開発効率化の検討は2023年12月から行われ、2024年3月には生成AIによる作業効率のアップが得られることを確認、生成AIの活用が決定されている。

 生成AIの選定は難しかったと佐藤氏はいう。選定はあらゆる生成AIが実際に試され、出力結果の精度や作業工数はもちろん、使い勝手からコストに及ぶまで徹底的に行われたからだ。「クオリティの高いコードを生成できても、バッチ処理ができないなど悩みは多かった。また生成AIによって得意不得意があることもよくわかりました」と佐藤氏は振り返っている。

 


アドオンのクリーンコア化を担うAWSが提供する3つの生成AIサービス

 

厳しい選定作業を勝ち抜き、NECのクリーンコア化を担うこととなった生成AIが、AWSの提供する3つの生成AIサービス「Amazon Bedrock」、「Amazon Nova」、「Amazon Q Developer」だ。これらのAWSの生成AIサービスは、総合的にみて出力精度が高く、作業工数面で最も効率アップに繋がると評価され、採用されている。

 その他にも採用理由はある。例えばAmazon Novaは、処理可能なトークン量が比較した他の生成AIの中で最も大きく、コスト面の優位性を評価。またAmazon Q Developerは、機能の豊富さと、人間が開発する際の支援ツールとして最も使いやすいといった点が特に評価され、採用されている。

 なおRISE with SAPのインフラには、すでにAWSが採用されていた。生成AIの採用に直接関係はないとするものの、AWSのインフラにおける高可用性と耐障害性、そしてさまざまな最新ソリューションが開発・提供されるという点も、採用における好材料になった。

 これらAWSの生成AIサービスは、本番環境への適用を視野に、さまざまなPoCが実施されている。現在検討されている活用法はこうだ。まずAmazon Bedrock、Amazon Novaを活用し、AIエージェントによる設計書及びコードを自動生成。その後出力されたABAPコードを人間が確認し修正を行う際に、Amazon Q Developerがサポートを行うといった流れである。

 興味深いのが、NECが生成AIを活用した働き方改革を実現している点だ。Amazon BedrockやAmazon Novaによる作業はバッチ処理を前提としており、これを夜間に実施する。技術者は翌朝、生成AIにより作成されたコードを確認し、Amazon Q Developerの補助を得ながら修正作業を行うのである。生成AIの活用で、24時間を通してSAP S/4HANA 環境のクリーンコア化が進められるにも関わらず、技術者は通常通り、日中だけの作業にとどめられるのだ。これは技術者にとっては大きな働き方改革であり、プロジェクトとして見ても、限られたスケジュールを文字通り余すことなく活用できるのである。

 今後、さらに生成AIが進化した場合、技術者の作業はなくなるのかといえばそうではない。これについて石黒氏は、「どれだけ生成AIが進化したとしても、あくまで技術者のサポート。必ず技術者が確認し責任を持つ必要があります。今後不足するであろう、設計やコードを書くことはもちろん、品質をも保てる、いわば“プログラムに責任を持てる技術者”の育成にも力を入れます」と語る。


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PoCから実際の導入へと進む生成AI、NECのDXをAWSの生成AIサービスが加速させる

 

生成AIの活用による生産性の向上についてNECは、PoC段階であり目標であるとしながらも、次のような数値を掲げる。まず設計開発工程においては、設計書・コードの自動生成により50%の工数削減を目指している。出力されたコードの確認及び修正でも、生成AIのサポートで更なる工数削減を目指すほか、調査・分析で50%、テスト工程で90%の効率化を目指している。

 これらの工数削減目標は、SAPシステムのクリーンコア化やバージョンアップだけに留まらず、SAPシステム以外の領域についての適用も視野に入

れ、こちらもあわせてPoCを実施している。

 順調にPoCが進んでいる同プロジェクトは、2つのステップに分かれており、その1ステップ目が2025年10月より開始される。まずアドオンの廃止と、代表的なアドオン約500本を、生成AIのサポートでSAPのAPI(公開インターフェース)に則った形へコンバートするのだ。この作業は2026年5月に完了予定で、以降2ステップ目として残るアドオンのクリーンコア化作業が、2026年5月を目標に実施される。

なおNECでは、ABAP以外にJavaなどでも生成AIの活用を検討しているとし、今後は可視化やテストといった領域においても、実際に生成AIを活用していくとしている。

 石黒氏はAWSの生成AIサービスについて、改めてこう語る。「精度の高さや使い勝手、コスト面において優位性が高いことはもちろん、AWSのエンジニアからの技術的サポートも評価しています。特に人間とAIの適切な役割分担や、実際の運用法についての提案などを積極的に提案してくれるため、AIとの向き合い方の道標になっています」

 生成AIを、あくまで技術者のサポート役と捉えるNECだからこそ、「人間」の提案やサポートを重んじるこの言葉はとても興味深い。

 AWSはコンピュータやデータに加え、生成AIまでもITの「インフラ」とした。そうNECから高い信頼を得るAWSのインフラとエンジニアは、文字通り縁の下の力持ちなのである。AWSは今後もNECのDXをしっかりと支え、サポートし続けるだけでなく、その先にある未来をも、強固に支えるはずだ。

自社導入


日本電気株式会社


創立:1899年7月17日 資本金:4,278億円(2025年3月31日現在)

売上収益:単独1兆9,812億円 連結3兆4,234億円

従業員数:単独22,271名 連結104,194名

パートナー企業


アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社


URL:https://aws.amazon.com/jp/

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