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SAP ERPを2日間でAWSにリフトアップ
基幹システムとして
安定した運用が可能な基盤を実現


専用データベースのサポート終了に伴いリプレースを検討

メンテナンスや性能面が課題に

 

日本ペイントグループは日本で最も長い歴史を誇る総合塗料メーカーとして、無毒性の亜鉛華の開発にはじまり、近年は抗ウイルス塗料など、さまざまな社会課題の解決に貢献してきました。塗料・コーティングとその周辺事業は今後も着実な成長が見込まれる中、グループとして塗料産業における歴史と伝統を重視しながら、持続的な成長を実現しています。現在では、日本、アジア、オセアニア、米州、欧州など世界45の国と地域で事業を展開しています。

同グループは2008年、自動車用塗料の事業会社が会計、生産、購買在庫、販売、品質管理用の国内向け基幹システムとしてSAP ERPを導入しました。2017年にはグループ共通の統一会計システムとして別途SAP ERPを導入。同時に自動車用塗料の事業会社が利用していたSAP ERPのデータベースを、専用のデータベースサーバーに統合しました。以来、2つのSAP ERPをオンプレミス環境で運用してきたのですが、データベースサーバーのサポートが2022年12月で終了するため、2021年6月ごろからリプレースを検討することになりました。国内グループの情報システムの開発・運用・保守を担う日本ペイントコーポレートソリューションズ IT&ソリューション部 システム基盤統括室 サーバー・ネットワークグループの浦瀬英記氏は「当時の課題としては、社内にSAP ERPのBASIS領域のノウハウが乏しく、データベースのメンテナンスが十分にできていなかったことが挙げられます。

また、アプリケーションも夜間バッチがオンライン時間までかかってしまい、一部の業務に影響が出てしまうなど、性能面にも問題がありました」と語ります。

 

 

高い技術力に加え、最適なコストの提案を評価

BeeXをBASIS領域の移行パートナーに選定

 

日本ペイントグループは、ハードウェアに依存せず、性能に不足のない安定したITインフラ基盤の実現を目指すため、2つのSAP ERPシステムおよびBWシステムをクラウドサービスへ移行することにしました。同グループはBASIS領域の移行パートナーを選定すべく、5社にRFPを送付。合わせて、インフラの切り替えによって発生する作業とタスクを洗い出し、分担領域やスケジュールを明確にするため、アセスメントを実施しました。具体的には作業内容、改修対象のプログラム、移設後の検証アプリケーション、必要なリソースなどを確認。最終的に3社の中からAWSとBeeXの組み合わせを採用しました。

両者を選定した理由として、AWSは2020年から一部の基幹システムや人事系システムをリフトアップ・運用してきた実績、BeeXは技術力の高さをそれぞれ評価しました。日本ペイントコーポレートソリューションズ IT&ソリューション部 情報システムセンター ビジネスアプリケーション室エンタープライズシステムサービスグループ グループマネージャーの山中敏嗣氏は「BeeXの持てる技術力とノウハウ、実績に加え、他社より安価なコストで実現できる提案をいただけたことが決め手でした。また、私たちが不明点について問い合わせを行った際、技術的に裏付けのある回答があり、その対応策まで提示してもらったこともポイントとなりました」と語ります。

 


2日間の停止時間で本番移行を実施

合わせて2000本以上のスクリプトを改修

 

移行プロジェクトは2022年4月にキックオフの後。要件定義、実現化、総合テストなどのフェーズを経て11月に本番移行を実施しカットオーバーしました。このプロジェクトでは、AWS構築やSAP ERPのアプリケーションテストなどは日本ペイントコーポレートソリューションズがサポートベンダーと共に担当、AWSのサイジング・設計、BASISの環境設計、運用設計、構築、移行と、SAP ERPと周辺システムを連携するためのスクリプト改修、テストをBeeXが担当しました。

移行に際しては、48時間以内の停止時間で本番移行を実施する必要がありました。その理由として、自動車用塗料の事業会社のSAP ERPは、海外の子会社も利用しているため、2日以内の移行が必須要件となっていました。BeeXは、その期待に答えるべく専用移行ツールによる移行、エクスポート/インポート処理の高速化、ファイル転送時間の短縮、処理の自動化、移行リハーサルの実施による成熟度の向上などの施策を行うことで、移行時間の短縮を図りました。「最終的に29時間で移行することができ、余裕を持って対応することができました」(浦瀬氏)

SAP ERPのスクリプトについては合計2,000本以上を改修し、テストを実施しました。またこれらの作業と並行し、開発/検証環境の定期的なリフレッシュの実現に向けて、AWSの機能を利用しクローズドネットワークに本番環境をコピーする方法を追加。本番環境のコピーを容易に作成できるようにしました。さらに、データの肥大化によってI/O性能が劣化していた課題に対しては、AWS移行による最適なデータ配置、ストレージ性能の向上、サーバー構成の最適化などにより改善を図っています。

今回の移行におけるBeeXの働きについて、山中氏は次のように評価しています。「プロジェクトを通じ、常に適切なアドバイスを貰えたことに感謝しています。ユーザーテストの段階で思ったようなレスポンスが出なかったときも、原因の究明に力を貸していただきました。このプロジェクトはAWSから周辺アプリケーションまで、担当が異なるマルチベンダー体制で進めましたが、複雑な体制の中でもしっかりと自己主張し、プロジェクトをリードしていただけたことが印象に残っています」

 

 

現行SAP ERPのサポート終了まで運用可能なインフラ基盤を整備

性能面でも基幹システムとして安定した運用が可能に

 

日本ペイントグループは今回の移行により、現行SAP ERP(ECC 6.0)のサポート終了まで運用可能なインフラ基盤を整備することができました。

「性能面でも、基幹システムとして安定した運用が可能な基盤が実現できました。現行SAP ERPのサポートが終了する2027年までは猶予がありますので、今後1年かけてどうするか決めていきたいと思います」(山中氏)

また、BASISの運用を考慮したバックアップリストアが実現したことも大きな成果です。

「移行に合わせ、リストアの手順を新たに作成しました。BeeXには、BASISの観点からリストアの手順に対する確証をいただき、実際のテストでも問題なく復元できることを確認することができました」(浦瀬氏)

さらに、開発/検証環境の定期的なリフレッシュが実現したことで、新たなプログラムを開発する際にも、最新のデータを使った検証が可能になりました。加えて、改修作業を実施する複製環境も短時間かつ容易に構築できるようになり、作業の品質も向上しました。

今後、同グループはSAP ERPの運用体制を固めつつ、現在オンプレミス環境で運用しているスクラッチ開発の基幹システムのクラウド移行も検討していく方針です。

「今回のプロジェクトは、当グループが進めている"IT活用によって業務を効率化する"ミッションに対して、ひとつの成果を残すことができました。私たちIT部門としても、いつでも自由にサーバーを作成・削除できるクラウド環境を手に入れたことで、ハードウェアによる制限がなくなり、新たなことにチャレンジしやすくなりました」(山中氏)

BeeXは今後も、SAPシステムの安定運用、他システムのAWS移行、SAPシステムのデータ活用など、さまざまな領域から日本ペイントグループを支援していきます。



導入企業

 

日本ペイントホールディングス株式会社


創業:1881年3月14日

資本金:6,714億3,200万円

従業員数:単体:51人 連結:33,763人(2022年12月31日現在)

パートナー企業

 

株式会社BeeX


URL:https://www.beex-inc.com/

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