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2020導入事例

NECソリューションイノベータ株式会社 (導入:アビームコンサルティング株式会社)

本番データこそ究極のテストデータ
プロセスマイニングとインテリジェント
オートメーションによる自動テストツール

SAP S/4HANAへのアップグレードによって発生する膨大なテストを、限られた期間内でどうこなすか検討していたというNECソリューションイノベータ株式会社。これを解決したのはテストの自動化だという。


 導入前の課題

  • SAP S/4HANAへのアップグレードに伴なうテストの工数と品質のバランスを模索

 導入後のメリット

  • テストの自動化による工数削減と、本番データによる「実際」を再現できるテストケースによるテスト品質向上


🔸S/4 HANAへのアップグレードは急務 しかし工数と品質のバランスが課題

2019 年、NECではSAP ERP6からSAP S/4HANAへのアップグレードが計画されていた。これは、これまで業務毎に分かれていた多くの業務システム群を、SAP S/4HANAと標準的なクラウドサービスへ統一することで、日々変化するビジネスを取り巻く環境への対応力強化、そして経営スピードの向上を目的としたものだ。その第一ステップとして、SAP S/4HANAへのアップグレードを早期に行う必要があったという。 しかし、SAP ERP からSAP S/4HANAへのアップグレードは先行事例も少なく、手探りで作業を進めていく必要があったため、想定外の作業による工数の逼迫が不安視された。これは「経営のスピードアップ」という目的をスケジュールどおりに実施できないことに繋がるからだ。

アップグレードではSAP ERPとSAP S/4HANAの変化を、網羅性を持ったテストにより検証してゆく必要があった。楠見氏によると「単体テストレベルで検証していった場合、テスト時間は大幅に掛かる。かといって省略しすぎると、実際に本番稼働したあと、障害が発生する可能性が高まる。テスト工数と品質を最適にバランスすることが重要だと考えていた。」という。

 スケジュールの問題から「工数を増やさずに品質を下げない」バランスの取れたテストを行うというこの難題に対し、白羽の矢が立ったのがアビームコンサルティング社の提供する、テストケースの収集と実テストを自動化するツール「Digital Testing」(デジタルテスティング)だ。


楠見 晃氏 NECソリューションイノベータ 株式会社 グループ基幹システム事業部 第一グループ 海外ソリューショングループ

 

🔸テストの自動化を実現するツール「Digital Testing」とは?

ここでアビームコンサルティング社の「Digital Testing」とはどのようなツールなのか解説しよう。Digital Testingには、2 つの特徴がある。ひとつは本番で実施されたプロセスからテストケースを自動的に収集する点、そしてもうひとつはテストを自動化する点だ。

まずプロセスマイニングツール「Celonis(セロニス)」によって、SAPの各プロセスがどのように動いているか確認、データを収集し、これをテストケースとして利用する。これは人間が設計したテストケースとは異なり、実際に動いていた本番データそのままを抽出できるため、人間では網羅できないようなレアケースもテストケースとして利用可能だ。「SAP ERPからSAP S/4HANAへのアップグレードはSAP社が提供したツールで実施するため、移行するまで不具合が発生するかは未知数です。Digital Testingは実データで事前にテストできるから、移行後の不具合発覚を最小限に止めることができます」と石黒氏は語る。

 次に、テストの自動化である。これは実際にデータを投入するといった、人間がおこなう画面操作を、RPAツールによって自動で行うものだ。これまでRPA ツールは、人間が複数反復するような操作を行う場合に、業務時間の短縮を目的に使われることが多かったが、アビームコンサルティング社ではこれをSAP のテスト自動化ツールとして利用しているのだ。途中で発生したイレギュラーやエラーなどはメッセージなどによってあとから確認できるため、多くのテストケースをこなす必要があるSAP S/4HANAへのアップグレードにはまさにうってつけのツールと言える。


石黒 朗記氏 NECソリューションイノベータ 株式会社 グループ基幹システム事業部 第一グループ 海外ソリューショングループ

 

🔸Digital Testing だから見つかった人間では作れないテストケース

自動化による時間短縮効果を楠見氏はこう語っている。「実際に発生したデータをそのまま使ったボリュームテストは、品質向上という点で非常に役立ちました。この品質向上を、もし手動で行ったら多大な工数がかかったでしょう。Digital Testing の活用により短期間での品質向上が実現できました。」 テストのなかで、我々システム側では思いつかないようなテストケースにより発見できた不具合もあったという。「旧環境と同じ結果になるか、Digital Testing で検証していると不具合が見つかる。エラーケースを見ると、これはシステム側では思いつかないな、といったものもありました。」と石黒氏が語るように、Digital Testingが実際に動いていたプロセスをもとにテストケースを作ることによるメリットが、本プロジェクトに活かされた形だ。

目的であった工数と品質の最適なバランスは、Digital Testingによって実現できたかという問いに、楠見氏はこう答えてくれた。「予定通りの工期・費用で実施したプロジェクト実施直後に決算が控えていました。大丈夫でした。トラブル無く決算を終えたとき、改めてバランスよくテストできたと実感しました。」






🔸Digital Testing への期待と両社で取り組む今後の進化

「Digital Testing」の今後に大きな期待があるという。今回の活動を推進した亀井エグゼクティブエキスパート氏は「プロセスマイニングとRPAツールを結びつけ、SIer向けにテストツールとして提供する考え方が実に素晴らしいと思います。少子高齢化は今後も進み、テストなどのオペレーション作業にSEを使うのはもったいない。働き方改革の中"17時にRPAツールの準備をして帰る"が実現できた。コロナ禍の今、活躍の場は増えると考えています。」と期待を寄せた。

Digital Testingは属人的なテストも解消できると、石黒氏は語っている。「本番のデータは究極のテストデータ。本番と同等のテストデータを投入できる人間は、運用もシステムも知っている高スキルな人間だけでしたが、Digital Testing であれば、誰でも自動で投入できる。属人的にならずに済むのです。」 なお、NEC ソリューションイノベータでは、アビームコンサルティングとともに、「Digital Testing」をより進化させようと考えているようだ。RPAで対応できるテンプレートの増加やアドオンへのより柔軟な対応、SAP周囲のシステムを試験対象にするなどだ。ゆくゆくは運用やテストの無人化なども視野にあるというDigital Testing。SAP S/4HANA へのアップグレードを検討中の企業はもちろん、SIer 目線で見ても、多くの企業が待ち望んでいた、まさに待望のツールなのだ。



会社概要 NECソリューションイノベータ株式会社 設立:1975年9月9日 ※2014年4月1日 NECソリューションイノベータ発足 資本金:8,668百万円 従業員数:12,286名(2020年3月31日 現在) 事業内容:システムインテグレーション事業、サービス事業、      基盤ソフトウェア開発事業、機器販売



🔸パートナー企業

アビームコンサルティング株式会社





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