2020導入事例

株式会社オーディオテクニカ

「ONE AT」プロジェクト始動
SAP ERPの導入でグループを1つに結ぶ

グローバルに展開する音響機器メーカー、オーディオテクニカ。これまで国内・海外の各拠点で部分最適を図ってきたが、さらなる飛躍のためにグループを1つにし、全体最適を目指す「ONE AT」プロジェクトとともに先進的なSAP on Azureの導入を果たした。


 導入前の課題

  • 独立闊歩だったシステムを1つの基幹システムに統一

 導入後のメリット

  • グループのシステム基盤を構築し、グローバル展開への基礎を確立

  • サーバー数、ソフトウェア数が削減され、ランニングコストを抑制

  • ブラックボックスだったシステムや業務フローが明確化


🔸コロナ禍に注目を集めるオーディオテクニカの製品群

日本を代表する音響周辺機器メーカー株式会社オーディオテクニカ(以下、オーディオテクニカ)。同社の創業は1962年、国産のレコードカートリッジ(レコード針)の製造販売から始まった。近年ではその精密技術を活かしたヘッドホン、マイクロホンなどを次々と開発し、国際的なブランドに成長している。その証にグラミー賞の授賞式では、海外アーティストらが同社のマイクを手に熱唱し、夏季・冬季オリンピックでは、走り幅跳びの砂地やフィギュアスケートのリンク内に設置された同社のマイクが会場の臨場感を伝えている。


また、今年のコロナ禍では、テレワークやステイホーム需要によってヘッドセットやUSB マイク、会議用システムが好調だ。現在、同社の売上比率はおよそ海外65%、国内35%になるまでに成長したが、そこには「部分最適」の課題が潜んでいたと取締役 管理部 ゼネラルマネージャー 小柳 益男氏は語る。 「当社は小さいながらも世界中に拠点を持ち、それぞれが独立独歩で事業を進めトータルで成⾧を続けてきました。一方で、各拠点が自分たちの業務しか見ないがゆえ過剰在庫が発生して、多くの課題も浮かび上がってきました。その最大の原因は『情報の断絶』にありました」(小柳氏)



🔸「ONE AT」を掲げてシステム統合と課題の解決を目指す

このような現状を打破すべく、同社は2016 年から「ONE AT」という年次スローガンを掲げ、グループでの全体最適を推進。その最たる施策として、各国、各部門で分断された情報システムを1つの基幹システムに統一するプロジェクトがスタート。まずは国内の統一化が始まった。

「これまでは販売・生産・財務会計・管理会計といったシステムがグループ会社ごとに独立していました。何がどれだけ、どう動いていて、結果どう対応すべきなのか、共通の指標で可視化したいと考えたのです。実際にそれぞれの現場を回り、課題を細かく洗い出すことは非常に骨が折れるものでしたが、結果的に簡易的なFit&Gapを3 か月で実施し、グローバル対応の ERP で統一する方針を固めました」(小柳氏)

同社 管理部 経営企画課 ICT 企画グループ 福島 渉氏は、ERP ソリューションの選定をこう振り返る。 「弊社は国内のみならずグローバルな展開を志向しています。その方向性と最も合致するソリューションとして、SAPシステムの導入を選びました。グローバルでの利用実績が最も豊富で、各国の法制度に対応していることが主な選定理由です」(福島氏) しかし、その導入は難航した。なぜなら国内外の各拠点で、独立してシステムが運用されてたからだ。多くのカスタマイズが施され、改善を重ねた作業とシステムを標準化するには、業務をひとつずつ紐解いていく必要があったのだ。

導入プロジェクトに加わったコベルコシステムは、製造業への SAP システム導入に強みを持ち、2 年間かけて各拠点の業務を文字通り丁寧に紐解いていった。そして、SAP S/4HANA とMicrosoft Azure(以下、Azure)の導入を決定した






🔸先進的SAP on Azure 事例となるチャレンジ

同社 管理部 経営企画課 ICT 企画グループ 主事 山田 淳一氏は、Azure を基盤に選んだ理由を次のように説明する。 「旧基幹システムの BI に Azureを使っていたこともあり、その特徴は把握していました。オンプレミスとクラウドで両方検討しましたが、ハードの要件が固まらないと動けないオンプレミスと比べて、クラウドは柔軟なサイジングが可能だった。そこが決め手となりました」(山田氏) しかし、当時SAP on Azure はまだSAP 社の認定前。開発は事例のないチャレンジングなものとなった。困難も少なくなかったがコベルコシステムとマイクロソフト社との連携もあってシステムは問題なく稼働し、同社のシステムはSAP on Azure の先進的な事例となったのだ。

プロジェクトの進行にはMicrosoft365 が活用され、細やかな実装作業が行われた。その様子をコベルコシステム株式会社 産業ソリューション事業部 技術理事 統括 PM 山田 憲司氏はこう振り返る。 「例えば、Teams 内に個別の課題に特化したチャンネルを作ることで、場所を選ばず議論を進めることが可能になりました。検証段階でも、離れた拠点の相手に対して即座にバトンを渡していくことが可能になったため総勢でおよそ 200名という関係者の多さにもかかわらず、スピーディーな導入が可能になりました」



🔸ブラックボックスだったシステムや業務フローが明確に

2019 年、同社の国内 4 社 2 工場にSAP システムの導入が完了。海外への導入を見据えた Step 1 が終了したのだ。国内での導入を果たした今、現時点での成果を、福島氏は次のように語る。 「SAP S/4HANA を中心とした基幹システム群として国内を統一できたのが何よりの成果です。ブラックボックスとなっていたシステムの全体像が明らかになり、情報が可視化されました。その結果、従来は7 日間かかっていた月次決算が2 日間に短縮され、月 1 を基本としていた生産指示もより頻繁にできるようになりました。また、生産指示短期化と構築済みのグローバルPSI システム( 順次、海外販社の情報を取り込み中)を合わせることで、需給調整機能の集約ができ、海外生産拠点へ生産リードタイム短縮要請などができるように進めていきます」

さらに、" SAP on Azure " によって、大きなコストメリットも出ている。 「今までは販売・会計・生産と個別にサーバーを立てており、合計十数台が稼働していましたがその半分の仮想マシンで済むようになりました。また同じパッケージソフトを別部署で所有する多重投資も無くなりました。速度や利用感はオンプレミス時代と変わらないままに、ランニングコストは半分になりました」(山田氏) 国内の統一を終え、今後の展望を小柳氏は次のように語った。

「これまでは各部門が、自分のところしか見ていないことで、無駄な受発注を何度も繰り返してきました。これからは1つのシステムに集まった共通のデータをみんなで見て、自分の仕事をするだけだった人たちのマインドを切り替えていきます。その先に私たちの目指すべき姿があります」 今後もオーディオテクニカのONEATを実現するための挑戦は続いていく。 ※コベルコシステムは本プロジェクトを支援したことにより、『SAP AWARD OF EXCELLENCE 2020』の優秀賞を受賞しました。

<<INTERVIEWEE>> 取締役 管理部 ゼネラルマネージャー 小柳 益男氏

管理部 経営企画課 ICT 企画グループ 主事 山田 淳一氏

管理部 経営企画課 ICT 企画グループ 福島 渉氏



会社概要 株式会社オーディオテクニカ 設立:1962年4月17日 資本金:1億円 連結従業員数:760名(国内関連会社を含む) 事業内容:音響・映像関連アクセサリ、アクチュエーター関連製品、半導体レーザー関連商品、産業用防塵装置、食品加工機器



🔸パートナー企業

コベルコシステム株式会社