
B2Bでのカード決済をSAPシステム上で実現する
Visaの決済ソリューション「Visa B2B Integrated Payments」
〜キャッシュフロー改善&資金調達の新しいアプローチ〜
企業間決済におけるクレジットカード決済の現在と未来
──B2Bでのカード決済を実現するソリューションVisa B2B Integrated Payments(VBIP)のサービスが国内で始まりました。現在、日本におけるB2B決済は、どのような状況なのでしょうか。
細谷:近年、日本企業におけるB2Bのカード決済は、消耗品費や接待交際費などの販管費などで利用が始まっているものの、仕入れなどの直接材や高額決済領域などの分野では利用が進んでおらず、今後の拡大余地が大いにある領域と考えています。
現在、B2Bでの支払いは銀行振込が主流で、それ以外にも紙の手形といった日本特有の商習慣が残っており、これらがカード決済普及の高いハードルになっています。また、カード決済を導入しようと考えた場合にも、新たな仕組みを導入したり、社内調整が必要だったりと、コストと時間が掛かることも普及に時間がかかっている要因だと考えています。
──B2Bカード決済は、今後増えていくのでしょうか。
細谷:政府の方針により、紙の手形や小切手が2027年3月末に廃止されることもあり、企業にとってはデジタル化への対応が急務になっています。B2Bへのカード決済導入が、企業のデジタル化を促進し、業務効率化や既存顧客への支払いニーズに対応したり、新規顧客開拓に繋がったりと、企業の事業成長にとって有効なソリューションであると考えています。
なおB2Bカード決済の市場規模は、B2Cのキャッシュレス決済と比較しても、成長傾向にあり、2030年には現在の2倍程度にまで拡大すると期待しています。
VBIPを最大限に活用可能なSAPとのパートナーシップ
──VBIPのパートナーとして、SAPを選んだ理由を教えてください。
細谷:未来を見据えた業務効率化を目指し、イノベーションを実現するという方向性が共感できたことが大きいです。また、SAPシステムが多くの企業に採用されている点も理由のひとつです。
特に、使い勝手の面で強みがあります。SAPシステム内にアップロードされる請求書に対し、決済まで一気通貫で行えます。これは企業様にとって、支払い業務を大きく効率化できる、いわばユーザーエクスペリエンスの向上が目指せることを意味しています。
村上:SAPシステムは、大企業はもちろん中小企業にも導入していただいています。基幹業務を一元的に行え、その中心は会計です。これに支払いが加わるわけですから、その親和性は誰もが高いと感じるはずです。
SAPは常にイノベーティブを目指している一方で、決済部分を有していませんでしたが、ここに先進的なVBIPが加わるのです。私たちはVisaとともに、より業務改善を推し進められると期待しています。
─VBIPを利用せずに、カード決済を導入する場合、どのような問題があるのでしょうか。
村上:独自に実装する場合は、SAPシステムと連動部分や、決済部分についても開発する必要があるため、かなりの工数が必要となるばかりか、運用・保守といった側面でも、高いコストが必要となるでしょう。
一方のVBIPは、SAP Business Technology Platformを利用したクリーンコアでの機能拡張ですから、容易に導入できます。もちろん、保守やメンテナンスについても、面倒なことはありません。
C/Fの改善や資金調達といった企業の資金繰りの安定を柔軟にサポート
──VBIPの導入で実現できることと、得られるメリットを教えてください。
村上:Visaの法人カードを使い、SAPシステム上にアップロードされた請求書を、カード決済が出来ないサプライヤーに対して決済が可能になります。SAPの業務プロセス上で、すぐに決済できるため、企業における決済業務を大きく効率化出来ます。
細谷:支払いに関するセキュリティ向上も目指せます。発行するカードはSAPシステム上にある請求書データをもとに、サプライヤごとに設定された目的でしか使用できないよう制限をかけられるため、不正利用を防ぐことができます。これは企業におけるガバナンス強化にも役立つものと考えています。
さらに、企業にとって最も大きなメリットだと考えているのが、資金繰りの最適化です。クレジットカードの利用により、最大で55日間、支払いに猶予ができるのです。これは投下資本利益率(ROIC)やキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)といった、経営指標の良化に繋がります。
例えば2026年1月に施行される改正下請法において、60日以内での支払いが義務化されますが、これに対する準備に追われている企業も少なくありません。私たちのVBIPであれば、C/Fをこれまでと大きく変更することなく、支払期限を遵守できるのです。
なお、これまで資金調達の手段として、ファクタリングなどがありましたが、利率といった部分でしか比較検討が出来なかったかと思います。VBIPは、こうした資金調達を行う場合の、新たな選択肢となることもメリットです。

B2Bにおけるカード決済の導入で守りの姿勢から「攻め」に転じる
──VBIPはどのような企業におすすめですか?
細谷:企業規模や業種に関わらず、特に支払いに関して課題を持っている企業様におすすめしたいと考えています。支払いサイクルを柔軟にできることから、C/Fの改善に役立てられるからです。また、有利子負債の増加による経営指標の悪化といった課題を持つ企業様にも、大きなメリットがあります。
─VBIPにどのような期待を持っているか、教えてください。
村上:ERPにとって、お金の管理は重要なポジションです。先進的なVisaのB2B支払いソリューションを、多くの企業の皆様に届けられるということに、大きな期待を持っています。海外と比較すると日本では、まだまだ法人のカード決済があまり普及していない反面、企業からのニーズが少なくありません。
VBIPを利用することで、新しいメリットを提供できる、そしてSAPシステムにとっても、新しい角度のバリューを提供できることに、興奮を覚えています。
─さまざまな課題を持つ企業に向けてメッセージをお願いします。
村上:SAPシステムに関連するサービスとしては、本当に新しい角度のソリューションです。VBIPという新しい、まさに先進的な機能を利用し、ぜひ「攻め」に転じていただきたいと考えています。
細谷:VBIPはSAPシステムのなかで、シンプルにそして便利に、決済までを実現可能なソリューションです。資金繰りに関する課題解決にも繋がるこのソリューションを、ぜひご活用いただきたいと思っております。
もし今、C/Fや資金調達にお悩みであれば、ぜひ私たちにご相談ください。また、VBIPについての詳細についても、お気軽にお問い合わせください。


