多機能を備えたクラウドプラットフォーム「SAP BTP」に
サードパーティ製の優れたソリューションや生成AIを組み合わせる
デロイト トーマツ コンサルティングの提案
ノーコード開発の一歩目となるSAP BTPと生成AIの組み合わせ
ここ数年の生成AIの急速な普及に伴い、それに基づいてビジネスプロセスでも生成AIを活用できるよう、SAP BTPにも機能が追加されています。SAP BTPは、1つの環境でアプリ開発、データアナリティクス、統合、AI、自動化といった各機能を包括的に提供する、SAPアプリケーション向けに最適化されたクラウドプラットフォームであり、単体でもイノベイティブでスピーディなソリューションです。しかし、生成AIを組み合わせることでそれが一層加速します。
SAP社が提供するAIコパイロット「Joule」もその一つです。Jouleは、すべてのSAPソリューションを横断してインサイトを得て、それを元にタスクを実行するなど、SAPのプラットフォーム上におけるあらゆるプロセスを迅速化。書類からプログラムまで、ユーザの求めるコンテンツの生成にも対応します。
しかし、データ分析や自動化などといった側面では、Jouleよりも優れたサードパーティ製の生成AIが存在するのも事実です。そこで我々は、サードパーティ製のソリューションとSAP BTPを組み合わせるという提案をしています。最終的に目指すのは、“何も書かない”こと。いわゆるノーコード開発です。
コードを書くということ自体がもう“古い”と考え、自動化やローコードを基本とし、さまざまなサービスを組み合わせてアプリケーションを作るというスタンスをとっています。そのプロセスにJoule、そしてサードパーティのソリューションや生成AIを組み込むわけです。
SAP、そしてWebに散らばる膨大な情報をノーコード開発とAIで生きた情報に変える
SAP BTPとサードパーティ製の生成AIを組み合わせた例として、たとえば為替予測ツールが考えられます。インターフェイスなどは、Jouleを含むSAP BTPの基本機能で構築し、為替の予測は、機械学習によるテクニカル予測とサードパーティ製の生成AIによるファンダメンタルズ予測の2軸で実施する仕組みです。後者においては、テキスト情報はもちろん要人のコメントなども根拠として生成AIが予測を行います。ソースコード上で、生成AIに「プロの為替トレーダー」という人格を付与したり、回答のルールや方法を指定したりしておくのも重要なポイントです。
また、製品の画像、製品名、カテゴリ、価格情報などを一覧にまとめる作業をしたいとき、SAP BTPとサードパーティのMendixというローコード開発プラットフォームを連携させるのも有用です。
Mendixと連携すると、SAP上のデータをほぼドラッグ&ドロップで読み込むことができるため、プログラミングの知識はまったくいりません。冒頭でお話ししたような、ノーコードが実現するわけです。さらに生成AIを組み合わせれば、SAP上にあるレビューやレーティング情報、市場情報を分析してレポート化してくれます。膨大な情報を自動で整理し、製品の強みや弱みを明確に言語化してくれるため、営業活動や以降の製品開発などにも活きるでしょう。
ビジネスユーザに勧めたいAIを活用したアジャイル開発
ローコード開発、一部ではノーコード開発が実現しつつあり、システムユーザにとってはわかりやすく使いやすい環境がすでに整っています。しかしビジネスユーザにとっては、未だ“難しい”と認識されることも少なくはありません。将来的には、AIとの対話のみ、あるいはテンプレを用いてビジネスユーザによる開発が実現されるときが来るでしょうが、まだ先の話です。
そこで現在は、生成、フィードバック、修正を繰り返すアジャイル開発への活用もおすすめしています。生成AI同士を対話させることで精度が上がるという研究結果も示されておりますが、そこにビジネスユーザを含めた人が入り込むことで、開発を進めるのです。
生成AIが、今後あらゆるビジネスシーンで活用されるのは間違いありません。我々はグローバルのグループ全体で、AIを組み込んだ導入方法論「Ascend」を推進しています。日本ではまだスタートしたばかりなのですが、いわゆる要件定義書やテストケース、テストデータの生成などをAIで行い、プロジェクトの高度化、品質向上、納期短縮を実現する試みです。生成AIの急速な成長速度に対し、市場全体で人材が不足しているという課題はあるものの、そういった試みをとおしてクライアント様によりイノベイティブでスピーディなソリューションを提案してまいります。
日本初となる生成AI体験施設AI Experience Center にて生成AI活用の解像度をあげる
生成AIがどのように企業変革を成し遂げるのか、まだイメージしづらい方々もいるかと存じます。その場合はぜひ、東京・丸の内で展開している「Deloitte Tohmatsu Innovation Park(デロイト トーマツ イノベーションパーク)」内にある、生成AI体験施設「AI Experience Center」にお越しください。
2025年1月にオープンを予定している新たな施設です。
まずDeloitte Tohmatsu Innovation Parkとは、我々がプロデュースする次世代ビジネスを全方位で支援する新しい活動拠点です。ビジネスを創り出す専門家の立場から、グローバルな見識とノウハウを活かし、あらゆる産業の成長を促進するための環境として、会員様向けのワークスペースや会議室、イベントスペース、カフェなどを設けています。
そして、その中でも最先端エリアとして特に注目されているのがAI Experience Centerです。AI Experience Centerは最新設備を備えたデモ機ゾーンと、ワークショップ・セミナーゾーンから構成される施設です。デモ機ゾーンでは複数のアライアンス企業と協力し、生成AIの基盤モデルから搭載アプリケーションまで、生成AI関連製品・サービスを展示・紹介しており、SAP社のJouleや組み込みAI機能を実際に体験することができます。ワークショップ・セミナーゾーンは、生成AIの活用に関して学び、自社課題に照らして構想する場となります。デロイト トーマツの業種・業界の知見に加え、企業経営に関わる多様な専門性をベースに、クライアント企業の事業および経営課題における生成AIの活用を共に探索していきます。