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SAPと連携し、多様な証憑書類をinvoiceAgentで一元管理
電帳法対応とともに、各部門が活用できる環境構築を内製化で実現


すべての証憑書類を電子化し業務を効率化したい

 

1948年の創業以来、石油・ガス、化学、環境、省エネ、産業設備など幅広い分野で数多くのプラント建設プロジェクトを手掛けてきた千代田化工建設。近年では脱炭素社会への加速を踏まえ、エンジニアリング総合力と社会実装力を駆使し、さらなる事業成長を目指している。

同社では、プロジェクトITとコーポレートITという2つの領域で全社的なDX(デジタル変革)を推進している。プロジェクトITは、各種プラント建設プロジェクトを遂行するためのシステムをコントロールし、その高度化を目指すもの。一方のコーポレートITは、インフラを含めたバックオフィス系の業務支援をするためのシステムやサービスを提供することを担っている。特に近年ではコロナ禍を発端にリモートワークが可能となる社内IT環境整備を担ってきた。

コーポレートITを担当するITマネジメント部 コーポレートICTセクションの金子 周平 氏は、「今後は、文書管理のDXを推進していきます。現場や会社内で利用されている文書の取扱いの効率化を進め、以前から進めているペーパーレス化を次のレベルにしていきたいです」と話しこう続ける。「プラント建設プロジェクトでは数多くの証憑書類を扱います。機器資材購入、工事発注、現場での備品、業務を担う人員に関するもの、営業、経費、税務などです。それらを電子化して一元管理することで、これまで紙中心であった業務の効率化を目指しています」

文書管理のDXを後押ししたのが、改正電子帳簿保存法(電帳法)の改正だ。改正の期限が決まっており、全社の業務フローに大きな影響を及ぼすことから、証憑管理の責任部門である財務本部とIT面から基幹システムを運用するコーポレートICTセクションが中心となって対応することになった。

金子氏は「SAPには証憑書類を添付する機能が既にありましたが、あとからの参照は面倒だったのです。また、紙を正としていたため電子取引のデータをいったん紙に印刷し、再度スキャンするという入力で非効率でした。電帳法に対応するのを機に、証憑書類を全社で扱いやすくしたいと考えました」と振り返る。

 


証憑書類を全社横断で検索できるinvoiceAgent

 

コーポレートICTセクションは20名ほどのチームで、SAPと他の基幹系システムの開発や統合を担っている。SAPが高度にカスタマイズされていたため、電帳法の改正に対応するための改良がすぐには適用できない。そこで、外部の文書管理システムとの連携を求めることにした。

文書管理ツール導入の検討は電帳応改正が公開された2021年から始まった。同時期に、従業員経費精算システムの導入が進められており、当初コーポレートICTセクションではそのシステムに関連する文書管理ツールが適切だと感じていたという。しかし、このツールは電帳法への対応はできるものの、全社レベルでの証憑データの検索・確認の観点からは不十分であった。前述したようにプラント建設プロジェクトでは多様な証憑データを取り扱っているため、各部門の担当者がこれを参照する際に、異なるさまざまな要件で横断的に検索できる機能が求められた。

 


オンライン教育や法対応サポートで円滑に導入

 

同社が検索性に優れた文書管理ツールを探す中で出会ったのが、グループ会社の担当者に推薦された「invoiceAgent」だった。そして、パートナー企業であるフォーカスシステムズ社を通じてinvoiceAgentを導入することが決定した。

2022年の2月に導入プロジェクトがスタート。新しい業務モデルを展開することになるため、財務本部、コーポレートICTセクションだけでなく、証憑書類に関連するさまざまな部署も関与するプロジェクトとなった。金子氏らのチームは、各事業本部、法務、経理、調達、セールスなどで扱う証憑書類の種類や用途についてヒアリングして一覧にし、その後業務フローを検討し、要件定義のうえ開発を進めた。

実際のシステム構築では、業務効率化を狙いとした仕組み作りの一環として、SAPに保管された会計・伝票情報を属性情報として抜き出し、証憑のファイルとともにinvoiceAgentに備わっているAPIを駆使したインターフェースプログラムを、社内的に標準としているアプリケーション間インターフェースの基盤上で稼働させるなど、高度な技術連携も内製開発で実現している。

2022年12月には、電帳法の意味、千代田化工の対応について全社向けの説明会を開催。2023年に入って新しい業務フローを浸透させるために各業務別での個別の説明会を計7回実施し浸透を図り、5月には全体として電帳法対応を稼働させている。

invoiceAgent自体の導入にあたっては、フォーカスシステムがオンラインで教育を支援。金子氏は「私とメンバーである大橋の2名が受講し、invoiceAgentで実現できることを具体的にイメージすることができました」と振り返る。電帳法への対応に関しては、ウイングアーク1stが提供する「電子帳簿保存法支援サービス」も活用した。金子氏は「法律に関しての他社の実態など法的側面と技術的側面の両面で相談できてよかったです。また、提供された手引書で導入プロセスを確認することができ、安心感がありました。ヒアリングや要件定義の段階でやってきたことが正しいと確認でき、大きな助けとなりました」と話す。

ただ、実際のツール導入はスムーズに進んだものの、実際の電帳法対応の運用については社内の関連部門との調整に少し手間もかかった。電帳法に対応することで紙の書類の保管は必要なくなるが、法務の視点からは係争の際のリスクを考慮して紙の証憑書類を残したいという事情があったためで、合意形成や若干のシステム仕様の変更も行われた。

 


 

さまざまな属性項目で証憑書類をスピーディに検索

 

InvoiceAgentの動作について金子氏は「非常にレスポンスが良い」と高く評価している。導入プロジェクトを技術面で支えた大橋氏も「証憑書類に関連する属性は27ほど設定していますが、さまざまな用途で項目を選んで検索してもスムーズに動作します」と、当初の課題の一つであった検索性が解決されたと話す。また、ウイングアーク1stのカスタマーサクセス部門の担当者によるサポートも利用し、丁寧な回答が迅速に得られることにも満足しているようだ。

2023年8月現在、invoiceAgentを利用しているのはIT部門のみだが、2023年10月からはグループ会社の電帳法対応開始も含めて利用を拡大する予定だ。金子氏は「機密性の高い証憑書類もありますので、プロジェクトや部署ごとに限定的な閲覧ができるようにしたいと考えています。将来的には部署ごとのコスト管理にも役立てていきたいです」と、今後に期待を寄せる。ユーザー展開で、また、さらなる有効利用のアイデアも出てくるのではと期待している。

紙の書類に依存した従来のワークフローを見直し、より効率的な業務フローを志向する千代田化工建設。invoiceAgentの導入は、同社のコーポレートITのDXを推進する大きな推進力となりそうだ。


導入企業

 

千代田化工建設株式会社


設立:1948年1月20日 所在地:神奈川県横浜市

事業内容:1948年創業。エネルギーと環境の調和を目指す総合エンジニアリング企業。グローバル規模での豊富なプラント建設実績から得た知見と技術を活用し、プロセスプラントや社会インフラ整備の事業計画から設計・調達・建設、運転・保守まで一貫してサポートする「プロジェクト・ライフサイクル・エンジニアリング」を展開している。

URL:https://www.chiyodacorp.com/

パートナー企業

 

ウイングアーク1st株式会社


設立:2004年3月 所在地:東京都港区

事業内容:ウイングアーク1stは、業務処理における全ての帳票の効率的な運用を支援する帳票・文書管理ソリューションと、成長のための業務改革をデータ活用によって推進するデータエンパワーメントソリューションを提供しています。データに基づく意思決定・行動を支援する革新的なソフトウェア・サービスを提供することで、企業・団体がデータを最大限に活用しイノベーションを起こせる社会の未来をつくっていきます。

URL:https://www.wingarc.com/

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