デジタルアダプションプラットフォーム「テックタッチ」と
Concurでガバナンス強化と生産性向上を実現
システム定着のポイントは「ユーザー満足度」にあり
オカムラの進めるDX戦略と期待されたConcur導入プロジェクト
オフィス家具や産業用機器などの製造・販売を主な業務とするオカムラは、製品の企画・デザイン・製造に加え、レイアウトや内装のプランニングから什器の製造、施工、メンテナンスまで、さまざまな空間づくりをトータルにサポートする企業だ。
オカムラは2022年からDX戦略を本格的に加速したが、外部の有識者を招いた全社員向けのDX教育を行うなど、急ぎ足となりがちなDXを丁寧に進めている。一方で取り組みは、DX戦略部と情報システム部とが連携し、ボトムアップ型でのスピード感を重視した体制で進められている。
オカムラでは、ガバナンス強化を主な目的とし、さらに生産性向上をも狙ったConcur導入プロジェクトが行われた。導入の検討は、いわゆるDX推進が着目され始める以前から開始し生産性向上を目的とした新たなシステムやIT技術の導入推進を牽引する部署である業務改革部が主導して実施。オカムラの先見性が伺い知れる。
Concurの効果を最大化するために選ばれた「テックタッチ」
一方でConcur導入後、さまざまな課題が浮き彫りになっていた。多くは経費精算のルールに起因するものだ。多くの企業がそうであるように、オカムラで行われる経費精算にも独自ルールがあった。これに対応するため、Concurでの申請・入力を補助する目的で多くのマニュアルを作成したのだが、「複雑でわかりづらい」という意見もあったのである。そのため導入時点では、Concurによるガバナンス強化や生産性向上といった期待した効果は得られなかったのだ。
導入直後のConcurについて池田氏は「ガバナンス強化は、Concurにすべてを入力すれば達成できる。一方でユーザーである社員は入力方法が分からない。例えば交通費は単純だが、接待費はどのように入力し、科目は…といった詳細が分からない。さらにこうした申請は"時々"発生するものも多く、結果的に時間が掛かり、業務効率を落としているのも現状」と振り返っている。
状況を打開するべく、経費精算の入力ルールを周知するためのマニュアルの整備を推し進めた。しかしページ数やマニュアル数はより一層増え、その数は最終的に25種類にも及んだ。これらは主に目的別にマニュアルを分け、拡張してきた結果だ。そして用意されたマニュアルは、複雑だったため、問い合わせや申請ミスがなかなかなくならなかったのである。
こうしたなか鈴木氏は、ある提案を行う。それこそがデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の導入であった。先に述べたようにマニュアルは多く、ピンポイントで必要な部分を参照するだけでも、適切なマニュアルを探し出すことすら困難な状況。このため必要なときに、参照したい情報を表示できるデジタルツールを探していたところ、出会ったのがDAPだったわけだ。
さまざまなDAPを比較検討した結果「テックタッチ」が採用され、これがオカムラの進めるDX企画において導入された、第一号のデジタルツールとなった。
数あるDAPの中から、「テックタッチ」を選定した理由はいくつかある。まずユーザーが直感的に操作できること、必要な機能がしっかりと実装されていながら、不必要な機能がないという点。そして充実したサポートやコストについても、選定の理由だ。そして鈴木氏が選定理由として、もっとも大きな理由だと話すのが、完全な日本語対応とノーコードでガイドが作成できる点である。
間違えやすい入力項目を登録された科目に合わせて案内
「テックタッチ」によるガイドでユーザーの手間を減らすことに成功
導入後はテックタッチのサポート体制に、大いに助けられた。例えばテックタッチのスタッフが実際の運用状況を分析し、より分かりやすい表示方法の提案を行ってくれるなど、実際の運用に即したアドバイスがもらえる点も、頼りになると鈴木氏はいう。
また松井氏は、デジタルツールの範囲外の部分まで踏み込んだ提案をくれるのが素晴らしいという。例えば無理に「テックタッチ」で実装するのではなく"運用ルールを変えるべき"といった提案だ。目的を達成するために行われた、第三者目線での真摯な提案といえるだろう。
「テックタッチ」は現在、Concurでの経費精算に使われている。その具体的な利用シーンをいくつか紹介しよう。
まず交通費の算出方法に関するガイドだ。従来はマニュアルを開いてルールを見つけなくてはならなかったが、導入後は"距離"を算出するためのWebサイトや、起点といったルールをガイド化。見せ方についても、テックタッチから的確なアドバイスがあり、効果を上げている。
次に会議費申請時のガイドだ。ルールでは科目により同席者の記載基準が異なるのだが、入力欄が存在するために、ユーザーは常に全員分の名前を書いてしまう。そこで入力の手間を減らすため、条件により入力の必要がないことをガイドとして表示。これにより無駄のない入力率が70%に改善するという実績に繋がった。
このようにオカムラは、"ユーザーの手間を減らす工夫"を率先して実装しているのだが、これには理由がある。それは導入したシステムに対する、ユーザー満足度を重視しているためだ。満足度が向上すれば、導入したシステムの使用頻度も向上し、結果として定着に繋がると考えられたこの施策は、多くの企業がDX推進の参考にできるポイントといえよう。そしてユーザー満足度向上を担ったデジタルツールこそ、「テックタッチ」だったというわけだ。
ガイドやツールチップをノーコードで作成できる点も「テックタッチ」の魅力のひとつだが、実際に作業を行う鈴木氏はその完成度に驚き感動している。
例えば入力画面のここに吹き出しを作りたい、といった場合や色や書式の変更も、日頃使い慣れた資料作成ツールのように、一人で作成できるからだ。
交通費精算:操作不要を伝える吹き出しを表示
「テックタッチ」導入の成功でよりスピード感を増すDX戦略
導入効果は、全社員を対象にしたアンケートにも現れていて、「『テックタッチ』が役に立っている」などの肯定的な回答が%を超えるというから驚きだ。その他にも、チャットでの問い合わせが減ったという意見や、マニュアル確認の手間が省けたといった、肯定的な意見は多い。
順調に効果を上げているように思えるが、本来であればDAPの導入は難しいといえる。利用者が多いため、利用者全員に納得してもらうことは難しいからだ。成功の鍵はテックタッチのスタッフが、オカムラの未来について同じ船に乗り、一緒に考えてくれたからだと松井氏が語るのもうなずける。
今後もDX戦略を粛々と、そしてスピード感を重視して進めていくというオカムラは、その先鋒となった「テックタッチ」の導入効果に大きな満足を得た。
今後はConcur以外のシステムへの導入にも、期待を寄せる。
どのような企業に「テックタッチ」が役立ちそうか尋ねたところ、池田氏は次のように語ってくれた。
「日常業務に導入された新たなシステムに対して、ストレスを抱く社員が多くいるのであれば、『テックタッチ』の親和性が高いと考えます。そしてシステムの定着が実現できるはずです」
新たなシステムを導入したが定着しない、使い方に関する問い合わせが減らないといった悩みを持つ企業は、「テックタッチ」の導入を検討してみると
いいだろう。優れたデジタルツールであることはもちろん、企業に寄り添ったサポートは、必ずや良い結果をもたらしてくれるはずだ。
導入企業
株式会社オカムラ
創業:1945年10月
資本金:18,670百万円
従業員数:3,844名(単体)5,492名(連結)[2023年3月31日現在]