・Core CleanのカギはSAP BTPの有効活用
・データドリブン経営の実現に向けたデータ活用基盤の構築
・SAP S/4HANAへの移行を単なる保守切れ対応ではなくDX化の契機に
SCSKがSAP S/4HANAプロジェクトで得た市場の二大トレンドは
SAP® BTP活用によるCore Cleanの実現と
データドリブン経営実現に向けた基盤づくり
SAP S/4HANAプロジェクトにおける2つの大きなトレンド
現在、SAP S/4HANAの新規導入やマイグレーションの相談が増えるなか、お客さまのご要望から2つの大きなトレンドが見えてきました。
1つ目のトレンドは「SAP® Business Technology Platform(以下SAP BTP)の活用」、もうひとつは「データ活用基盤の構築(データドリブン経営の実現)」です。
今回は、SCSKが見た市場トレンドと、課題を解決するポイントを紹介します。
Core CleanのカギとなるのはSAP BTPを活用した機能拡張
まず1つ目のトレンドは「SAP BTPの活用」です。SAP S/4HANAへの移行にあたり、Fit to Standardを進め、機能拡張を最小限としてCore Cleanを基本方針とする企業が増えています。従来のIN-APP方式による機能拡張では、システムを直接カスタマイズすることから、将来のバージョンアップ時にロジックの見直しや再テストが必要になるなどTCOに大きく影響が出るためです。しかし、業界固有の要件への対応や他社との競争力を担保するため、独自の機能拡張を望むニーズは依然として高いままです。
そこでいま、SAP BTPの活用が注目されています。SAP BTPはSide by Side開発によりCore Cleanをキープしたまま機能拡張が可能なため、バランスの取れたシステムを構築できるのです。
こうした背景から、SCSKではSAP BTPを有効活用するソリューション「Add-Value for SAP BTP」をリリースしました。本ソリューションは、お客さまに3つの価値を提供します。
1つ目は、SAP BTP上でのアプリケーション開発の効率化です。SAP BTPは、現時点ではユーザに優しい仕組みとは言えません。そこでSCSKが保有するクラウドアプリケーション基盤から、一部の機能をSAP BTP上に移植。SAP BTPをより容易に、そして品質を確保した形での利用が可能になりました。
次に、SCSKの多角的なノウハウの提供です。従来のIN-APP方式による機能拡張で使われる開発言語はSAPシステムでのみ使われるABAPでしたが、 SAP BTPはJavaでの開発が可能です。これにより、SAP事業で培ったノウハウに加え、業界別アカウント事業部門が蓄積してきたJava開発および業界固有のノウハウを融合して、お客さまにサービスを提供することができるようになりました。
3つ目は、SAP標準機能にはない汎用性の高い業務・機能をテンプレートとして提供することです。例えば、日本固有の「電子記録債権要件」「手形管理要件」や「外為決済要件」についてはBTP上でテンプレート化しており、プロジェクトの生産性と品質を確保できます。今後もニーズが多い機能のテンプ レート化を進める予定です。
データの民主化を進めデータドリブン経営を実現
もうひとつのトレンドは、「データ活用基盤の構築(データドリブン経営の実現)」です。
現在、DXの第1ステップとして、バックオフィスのデジタル化を実現し、第2ステップとしてDX本来の狙いである、データ活用基盤の構築を目指す企業が増えています。その背景には、基幹システムと周辺システムにさまざまなデータを保有するものの、システムがサイロ化され、うまく活用できずにいるという現状があります。これらバラバラのデータを組み合わせることで、これまでと違った角度から分析でき、経営に活かせるのではという期待があります。
また日本の企業では、データ分析するのは経営層など一部に限られており、経営層も直接データを見るのではなく、仮設に基づき情報システム部などに分析を依頼するため、結果が出るまで時間がかかるという課題があります。もし、経営層だけでなく、工場や営業といった現場の従業員も含めて直接データを見て改善に使うことができる基盤が整備され、「データの民主化」が進めば、即効性のあるデータドリブン経営が実現できるはずです。 そこでSCSKは、SOIソリューション「Add-Value for Insight」をリリースしました。Add-Value for Insightは、業務に必要なデータを迅速に現場や経営の判断に活かすためのデータ活用基盤を提供するサービスです。
まず自社のデータを棚卸し、有用なデータとして誰でも活用できるように、SAP BTPを始めとするハイパースケーラー上にデータレイク環境を構築。SAP ERPを中核に、周辺システムからの生データをデータレイクに集めます。そしてデータウェアハウス、データマートに必要なデータを抽出・格納して全社共通のデータ活用の基盤とします。さらにSAP Data Intelligence Cloudまたはデータ統合ソリューション「インフォマティカ」を組み合わせてデータカタログを構築。データレイクに入っているデータがどのようなデータか、どのデータが何のシステムに格納されているかという「データの地図」を管理し、誰でもデータの属性や粒度を把握でき使ってよいデータなのか判断できるようになります。
データをどのように分析し、どの粒度で見て経営にどう活かすかは、業種によっても、もちろん企業によってもさまざまです。例えば製造業においては、ERPと工場設備のデータを有機的に連携させることができれば、計画と実績データの管理レベルを向上させられ、非常に価値があるでしょう。しかし、具体的にどのような環境を作ればよいのかわからないお客さまも少なくないはずです。そのためSCSKでは、お客さまに実際に体験していただける環境も用意し、共に議論しながら最適なサービスを提供していきたいと考えています。
SCSKが持つノウハウを活かしお客さまへ「価値」を提供する
SCSKでは、SAP認定コンサルタント資格を延べ750以上有するプロフェッショナル集団がSAPシステム導入を支援し、保守運用についても600名体制でサービスを提供しています。
SAP S/4HANAへの移行は、単なる基幹システムの再構築ではなく、業務全体の見直しや周辺システムとの連携、さらにデータドリブン経営の実現などDX戦略を推進するための基盤を構築する絶好の機会です。「Core Cleanを実現したい」「データドリブン経営を目指したい」とお考えであれば、ぜひSCSKにご相談ください。
*SAP、SAPロゴ、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です。またその他記載された会社名およびロゴ、製品名などは該当する各社の登録商標または商標です。