2019活動紹介
日本ヒューレット・パッカード株式会社
SAP HANAを通じたパートナーシップから生まれる
データドリブン経営を支援する新たな価値提案
長年にわたる協業関係を通じて、多くの顧客に対して時代の要請に応じた価値を提供し続ける日本ヒューレット・パッカードとSAPジャパン。1つのプロジェクトチームとして、お互いの検証センターを使ってPoCを実施するコラボレーションは、他に例のない緊密な信頼関係があってはじめて実現するものです。ますます加速するリアルタイムエンタープライズやデータドリブン経営のニーズに対して、両社は現在どのように取り組み、どのような価値を提供しようとしているのか。2人のキーマンに最新の取り組みについて語ってもらいました。
🔸SAP HANAビジネスで深まるHPEとSAPのコラボレーション
首藤:日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)とSAPジャパン(以下、SAP)の協業は、実に長い歴史を持っています。すでに30年以上になりますでしょうか。SAP HANAも2010年のリリースから間もなく10年、その初期からたくさんのプロジェクトでご一緒してきましたね。
本田:はい。SAPがメインフレームからオープンシステムへ移行し、当社もオープン環境でのERPを志向し始めた時期ですから、それくらいの歴史がありますね。2013年からは私たち自身がSAP ERPのビッグユーザーとして、自社のシステムをインメモリ化するプロジェクトをスタートしています。これは私たちのフラッグシップサーバーであるHPE Superdome Flex Server上でSAP HANAを稼動する、いわば超巨大なメモリ環境で稼動するERPの先進的なケーススタディであり、この成果をお客様に提供する試みをSAPと一緒に進めています。
首藤:SAPとしても、HPEがこれまで培ってきた「ミッションクリティカルのシステムを事業継続性を損なうことなく維持する」、すなわちエンタープライズ製品としての信頼性とサービス品質の高さには非常に魅力を感じています。言うまでもなく、ソフトウェアだけでは私たちのビジネスは成立しません。HPEのハードウェアと組み合わせてこそ、お客様の期待に応える可用性やパフォーマンスを提供できると考えて、協業を深めてきました。本格的なクラウド時代を迎えて、この関係は今後ますます重要になると考えています。
🔸増え続けるデータの活用を実現するHPEの最新ソリューション
首藤:このところ強く感じているのが、情報活用のトレンドが大きく変わってきている点です。以前はバランススコアカードやダッシュボードなど、「今何が起こっているのか?」を知ることが主流でしたが、現在は「その原因は何なのか?」「どういう対応が必要なのか?」まで掘り下げて、問題が見つかれば即座に手を打たなければなりません。つまり「事実に基づくリアルタイムの意思決定」が必須になってきているのです。
本田:私たちも同じように感じています。「Data is New Currency」との言葉通り、これからはいかにデータを有効活用できるかがビジネスの成否を分けます。世の中はデータを活用してビジネスを改善・加速させ、同時にコストを削減していくデータドリブンな世界に急速に変わりつつあり、もはや従来の技術では増え続けるデータをハンドリングすることはできません。
首藤:この課題に対して、HPEは技術の側面から答えを提供されていますね。膨大なデータを管理できる不揮発性メモリ「HPE Persistent Memory」の搭載や、オンプレミスでもリソースを使った分だけ料金を支払う従量課金型サービス「HPE GreenLake」には、私たちも大いに注目しています。
本田:ひと昔前はいわゆるIAサーバーなら、どのベンダーの製品も同じという風潮があったと思います。それが新たなテクノロジーの登場によって、ここ数年で大きく変わりつつあります。「HPE Persistent Memory」もその1つです。ここでは「データを蓄積する」と「データを高速処理する」という、ある意味で技術的には相反する世界を同時に実現しました。最新のテクノロジーをいち早く採用したサーバーという魅力が、お客様からの高い評価につながっていると思います。
🔸オンプレミスなのに従量制課金 画期的な「HPE GreenLake」
首藤:お客様からよく寄せられるご質問として、「HPEとSAPのHANAでの協業は、他のベンダーと比べて何が優れているのか」というものがあります。
本田:一方の「HPE GreenLake」は、いうなれば「クラウドとオンプレミスのいいとこ取り」です。システムはオンプレミスで使いたいけれど、従量課金型サービスの経済性も利用したいというお客様の大きな反響を呼んでいます。2019年の6月に開催されたグローバルイベントで、当社のCEOであるアントニオ・ネリは、「2022年までに、私たちはすべてのサービスをサブスクリプション型で提供できる会社になる」という方針を発表しました。「HPE GreenLake」はそうした試みの柱となるものですが、特にSAP HANAの場合はデータベースなので、従量課金のメリットが見えやすい。どれだけインメモリの容量を使ったかを、お客様自身で管理できるようになります。
首藤:ユーザーはシステムの運用・管理に煩わされず、ビジネスで必要な容量のサイジングだけに目を配っていればよくなりますね。
本田:一度「HPE GreenLake」の契約をしてしまえば、ビジネスの拡大に応じて「データが何TB増えたので、何コア分のリソース追加が必要で、月額費用がいくら増える」といった判断だけで、スピーディにシステム拡張が行えます。従来のように、リソース要求のたびに複数製品の見積もりを取って、比較検討して、稟議にかけて、納期を待って、といった手間はなくなり、ビジネスのスピードに負けない拡張が可能になります。これは、お客様にとっても非常に価値あるビジネスモデルだと自負しています。
🔸SAP HANAを活用してリアルタイム分析によるデータドリブン経営を支援
本田:SAP HANAは、カラム型のデータベース検索とインメモリの処理パワーによる高速性で分析シナリオを次々に変化させることができる。そういう意味では、データ活用にかつてないほどフォーカスしているのがSAP HANAではないかと思います。従来の「停まらない」「堅牢な」だけのデータベースから進化し、より戦略的なデータ活用の分野で、SAP HANAは今後ますますアドバンテージを発揮していくはずです。
首藤:データドリブン経営の時代を迎えて、今後はSAP HANAの中でも、アプリケーションのランタイムとしてではなく、純粋に分析データベースとしての活用が急増すると考えられます。性能の確保のためにデータマートを作成することなく、精度の高い明細をリアルタイムで高速分析できるパワーが大量のデータを擁するお客様から注目され、すでにグローバルの金融系企業や国内の大手通信系企業での実績が報告されています。
本田:当社でも、今まさにデータベースとしてのSAP HANAによる社内のIT変革プロジェクトに取り組んでいる最中です。これまではグローバルで3カ月間の実績レポートを作成するだけでも、数日の時間を要していました。この処理時間を劇的に短縮するためにSAP HANAを活用しようということです。このような分析で得られたファクトをリアルタイムで可視化し、迅速な経営判断に活かしていけるのがSAP HANAの最大の価値だと考えています。
首藤:そのプロジェクトの成果を、私たちの協業体制を通じてより多くのお客様に提供し、新しいビジネスの価値につなげていけると嬉しいですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
日本ヒューレット・パッカード本社にある検証センターでは、 SAPジャパンとのさまざまな共同プロジェクトチームのPoCが実施されている。
🔸パートナー企業
日本ヒューレット・パッカード株式会社