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2021年導入事例

日本発条株式会社(導入:富士通株式会社)

SAP ERPのフルモジュールを
Microsoft Azureへスムーズに移行
DR構成により事業継続を実現

日本発条株式会社では、事業環境の急激な変化に対応すべく、富士通が提供する「FUJITSU Hybrid IT Service for Microsoft Azure」を導入し、国内外のグループにおけるオンプレミスの基幹システムをMicrosoft Azure(以下、Azure)に移行した。富士通のサポートのもと、SAP ERP のフルモジュールをクラウドの運用に適したシステム構成とし、スムーズな移行と安定稼働を実現。DR(災害復旧)サイトを構築しつつ従来比でTCO の30% 削減を図る。



導入前の課題

①クラウドのノウハウ・運用経験がない中で、国内外のSAP ERP システムをビジネス変化に柔軟に対応できるようクラウドへ移行したい

②コロナ禍においても確実に、かつダウンタイムも最小限に移行を推進したい

③オンプレミスでの既存SAP ERP システムと同等のサポートレベルを継続したい


導入後のメリット

①富士通のAzure に関する豊富な知見により、基幹システムに求められる可用性向上や事業継続性を実現

②丁寧なコミュニケーションによりプロジェクトを着実に推進し、短期間での移行を実施

③富士通の一本化した運用サポート体制により、マイクロソフト社とも連携し障害発生も迅速に対応



 

🔶事業環境の急激な変化に備えて国内外のSAP ERPをクラウドに移行


1939 年、自動車の乗り心地や走行安定性を高める自動車用懸架ばねの工場を興して以来、自動車産業の発展とともに歩み続けてきた日本発条(以下、ニッパツ)。社訓「躍進のニッパツ 根性のニッパツ みんなのニッパツ」のもと、独立系部品メーカーとしてバネに関する技術をコアに、自動車分野のみならず情報通信分野、産業・生活分野にも業容を拡大する。また、いち早く世界に目を向け、単独で5 千人、グループ全体で2 万人を超えるグローバル企業に成長する同社は、環境対応や女性活躍支援などCSR(企業の社会的責任)活動の推進にも積極的だ。


自動車産業の「100 年に1 度」といわれる大変革に伴い、同社も変化をチャンスに変えるべく、先進技術へのチャレンジ、新規事業の立ち上げ、拠点の新設、工場の再編など自らの変革に取り組む。同社の企業変革を支えるICT インフラにクラウドを選択した理由について、同社 情報システム部長 鈴木潤一氏は話す。

「事業の拡大・縮小に合わせて、フレキシブルに対応できるICT インフラを構築するためには、技術のトレンドも影響するリソースに限りのあるオンプレミスよりも拡張性や柔軟性に優れたクラウドが適しています。また、パンデミックや自然災害など不確実性が高まる中で、コストを抑制しながらDR(災害復旧)を実現する上でもクラウドは有効です」。


OSやサーバの保守期限が迫る2019年に、国内外の各グループで利用する3つの基幹システム(SAP ERP)を、オンプレミスからクラウドに移行するプロジェクトをスタートした。グローバルで事業を支えるSAP ERPのクラウド移行を鑑み、AWS(Amazon Web Service)とAzure の2つに絞って選択した。Azure 採用の理由について、同社 情報システム部 主管 野村 誠一氏は振り返る。「Azure は、既存のSAPライセンスに含まれるSQL Server ライセンスをクラウドで使用できます。ここで生まれるメリットが選定ポイントとなりました」。


またクラウド移行のパートナー選定では、Azure に関するノウハウと運用サポート体制がポイントになったと野村氏は話す。「当社にはクラウドの運用経験やノウハウがなかったことから、当社の視点に立った提案力を重視しました。Azure 上でクラスタ構成をどう組み、可用性を高めていくか、またDRサイトの構築による事業継続の実現などAzureのサービスをいかに利用し課題を解決していくか、富士通の知見を高く評価しました。さらに、既存SAP ERP システムを熟知している富士通には、業務への影響の最小化を図るために移行時のダウンタイム短縮の実現や、安定稼働に欠かせない運用のサポートも期待しました」。


常務執行役員

企画管理本部

副本部長 兼

情報システム部長

鈴木 潤一氏


 

🔶富士通のサポートのもとコロナ禍でも短期移行を実現


2019年9月、富士通の支援のもと要件定義に入った。要件定義では「クラウドの運用に適したシステム構成」がポイントになったと同社 情報システム部 主査 野津直貴氏は話す。「ハードウェアを直接管理できるオンプレミスと異なり、クラウドはメンテナンスや障害によるシステム停止のリスクがあります。システム停止時の業務インパクトをシステム単位で考慮し、受注、購買、生産などインパクトの大きいものは冗長構成、インパクトの小さいものはシングルインスタンス構成としました。富士通の提案と技術支援により信頼性とコストのバランスのとれたクラウド基盤を実現できました」。


要件定義から構築へ、移行プロジェクト推進の道のりは、決して順風満帆ではなかったと野津氏は話す。「コロナ禍に伴う在宅勤務によりオンラインで打ち合わせを行いました。富士通の丁寧なコミュニケーションによりスムーズにプロジェクトを進行できました。さらに本番さながらのリハーサルでは、データのエクスポートに時間がかかり過ぎ、1日の予備日を含む5日間の移行期間に余裕のないことがわかりました。富士通からデータのエクスポートの順番変更などの柔軟な提案で、本番移行はゆとりをもって行えました」。


情報システム部

主管

野村 誠一氏


 

🔶Azure への移行で従来比TCO の30% 削減を


Azureに移行した新基幹システムは、2020 年8 月に国内ERP、同年10 月に海外ERPが稼働した。新基幹システム基盤は、DRサイトをAzure上で提供するAzure Site Recoveryにより東日本リージョンと西日本リージョンでDRを実現。DRの切り替え作業を半自動化するバッチ処理を富士通が作成し、作業のミス防止を図った。さらに、Azure Backupによりフルバックアップとシステムバックアップを行い、アーカイブデータの保存先として容量課金のファイル共有サービスAzure Filesを利用することで、コストの最適化を図りながら業務継続性の向上を実現した。


移行後も富士通の運用サポート体制のもとで安定稼働を続けている。「オンプレミスで運用していた既存の体制を拡張することで、Azure基盤のトラブルに関してもマイクロソフト社と連携し、富士通の窓口によりワンストップでご支援いただいています。Azureのメンテナンスによる一時停止や障害発生の際も、富士通による設定変更や、冗長化したサーバへの切り替えにより業務を継続できました。クラウド基盤の安定稼働において、運用サポートの重要性を改めて実感しました」(鈴木氏)


また、パフォーマンス面での課題解決にも富士通の知見を元にサーバ間の距離が離れないように設定変更することで、従来と同程度以上のパフォーマンスを実現した。移行によるコスト面の効果について、DR構成にしながらも従来比でTCOの30%削減が実現できると野津氏は話す。「3年契約を結ぶことで仮想マシンの費用を削減できるリザーブドインスタンスを利用するとともに、開発機や品証機は利用時のみに立ち上げる従量課金制としました。また、ストレージのSSDとHDDの有効活用や、1年単位でストレージ容量の最適化を図ることでコストを抑制しています」。


今後の展望について鈴木氏はこう話す。「今後、既存のオンプレミスで稼働しているシステムのクラウド移行も進めていく計画です。また富士通のサポートのもとクラウドの作法やノウハウを学び、クラウド活用を自社の強みとすることで効率化や競争力の向上を図っていきたいと思います。富士通には安定稼働のためのサポートはもとより、Azureの先進機能やサービスを活用した運用改善などの提案を期待しています」。


高度な開発力と技術力により持続可能な社会の発展に貢献するニッパツ。富士通はこれからもAzureの運用支援を通じて同社のチャレンジを支えていく。


情報システム部

主査

野津 直貴氏






<< 会社概要 >>

日本発条株式会社

創立:1939年9月8日

資本金:170億957万円

従業員数:5,190名(単独)、21,778名(連結)

※臨時従業員の年間平均雇用人員を含む(2021年3月末)



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