導入事例「本多通信工業株式会社」

本多通信工業株式会社
SAP S/4HANAのビッグバン導入と業務改革により
従業員が楽に、楽しく働く"楽勤化"を加速
業務用コネクタの製造・販売を手がける本多通信工業株式会社(以下、本多通信工業)。主力製品の移り変わりとともに業務プロセスも変化しており、従来の基幹システムでは対応が難しくなっていた。そこで、業務改革と合わせてSAP S/4HANAの導入を決断。コベルコシステムを導入のパートナーとして選び、会計、販売、購買、生産のモジュールをわずか10カ月でビッグバン導入した。業務のあり方がオペレーション業務から判断業務中心へとシフトしただけでなく、残業時間も削減でき、従業員がより楽に、楽しく働く「楽勤化活動」が加速している。

ビジネスモデルの急激な変化への対応

水野 修 氏

水野 修 氏
本多通信工業株式会社
取締役
コーポレートセンター担当

"Value by Connecting"(つなぐ喜び、創る感動)を理念に掲げ、通信機器や電子機器に使用するコネクタの製造・販売事業を展開する本多通信工業。現在、複数のニッチ分野でトップを狙う"Segments No.1"を基本戦略に、事業領域を通信分野からFA分野、車載分野へと拡げている。特に車載カメラは、自動運転の実現に向けて注目度が高く、競争力の強化に向けて注力している分野だ。

2017年当時の同社では、従来の基幹システムを長年使い続けてきた結果、出荷やロット管理、受発注の方法などが次第に業務と乖離するようになっていた。取締役 コーポレートセンター担当の水野修氏は次のように振り返る。
「この10年でビジネスモデルが大きく変わり、売上比率も通信分野が約5割だったものが、現在は通信2割、車載3割となっています。取引も国内直販から商社メインに変わり、間接販売の比重が増加。車載分野を中心に海外との取引も増え、物流が複雑化しています。従来の基幹システムのままでは、オペレーションが複雑で非効率なため、今後の成長の足かせとなりかねない状況でした」

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基幹システム刷新の背景と目的(クリックで拡大)

個別運用してきた会計と生産・販売・購買系のシステム間データ連携におけるタイムラグの発生も問題だった。「システム連携に手数がかかり、実績データも月次単位でしか見ることができませんでした。また、品番から品名がキーになるようにカスタマイズしていたため、容易にシステム改修ができない状態でした」と、コーポレートセンター IS企画グループ グループマネージャーの黒野尚氏は語る。

そこで同社は、持続的な成長に向けて基幹システムの刷新と業務改革に乗り出した。
「当社では従業員が『楽に、楽しく』働けるようにしたいという考えのもと、生産性向上と働き方改革を『楽勤化』という言葉に代えて活動しています。新システム導入を機に、オペレーション業務から判断業務へのシフトと、残業時間の削減を目指しました」(水野氏)

「HI-KORT」のフィット率の高さと、ビッグバン導入提案を評価

黒野 尚 氏

黒野 尚 氏
本多通信工業株式会社
コーポレートセンター
IS企画グループ
グループマネージャー

本多通信工業は複数のパッケージ製品から、世界標準としての完成度、拡張性、継続的な進化、サプライチェーンとの連携性などを評価してSAP S/4HANAを採用した。
「当初、SAPシステムは当社の規模にとってコスト的に合わないというイメージがありました。しかし、中堅企業でも十分手が届くとSAP社から説明を受け、SAP S/4HANAで標準化を進めることに決めました」(黒野氏)

導入パートナーには製造業のシステム導入において豊富なノウハウを持つコベルコシステムを選定。評価のポイントは、製造業向けテンプレート「HI-KORT」が、同社の生産業務にフィットしていたことや、導入方法論やドキュメント類も含めて必要な機能をすべて網羅していたことにあった。

「コベルコシステムからは会計も含めたビッグバン導入の提案があり、スピーディに導入できることが決め手になりました。業務要件のヒアリング後、SAP S/4HANAの一連の動作をデモで確認できたことも業務の流れをイメージするのに役立ちました」(黒野氏)

トップダウンによって独自の慣習やルールを廃止し、アドオン・ゼロに挑戦

導入プロジェクトは2017年10月からスタートし、ビジネス設計、構築、検証フェーズを経て、2018年8月中旬に終了。国内で本稼動を開始した。わずか10カ月で会計(FI/CO)、販売(SD)、在庫購買(MM)、生産(PP)の全モジュールを導入できた要因は、トップダウンの元でアドオン・ゼロを目指したことだ。

「楽勤化の実現のため、当社独自の慣習やルールを廃止し、SAP S/4HANAに業務を合わせることを基本方針としました。そのためにアドオンは1件1件すべて社長決裁とし、説得できなかったものはすべて標準を維持しました。結果として、帳票系や周辺システムとのインターフェースなど、10数本に収めることができました」(水野氏)

この方針の背景には、過去のシステム導入で業務部門の要望通りお客様ごとの個別仕様に対応したため、システムが複雑化し、メンテナンスやアップグレードも難しくなったという反省があった。そこで今回のプロジェクトでは、業務ワーキングとシステムワーキングの2つのグループが連携しながら進めた。過去の反省を踏まえてマスターも品名コードから品番コードに改め、丁寧なマスターづくりを心掛けたという。

プロジェクト全体については、設計フェーズや検証フェーズで一部遅延が発生したものの、目標どおりのスケジュールで稼動できたことを評価。プロジェクトを支援したコベルコシステムに対して、水野氏は「トラブル時のリカバリーを含め、密にコミュニケーションを取りながら、柔軟に進めることができました」と話している。

オペレーションから判断中心の業務にシフトし、年間1.2万時間の残業削減へ

SAP S/4HANA導入から半年が経った現在、業務改革は着実に進行している。業務の効率化という面では、標準化によって帳票の数を35種類から6種類に集約したことで、帳票を使い分ける手間が軽減された。支払基準も従来の36パターンから6パターンに減り、サプライヤーごとに対応する業務負荷も少なくなっている。さらにEDI化率も従来の30%から60%まで向上し、目標の100%に向けてEDI化が進んでいる。

「その他にも複数の業務改善プロジェクトが進行中で、全社目標に掲げた『楽勤化』に向け、社員の判断業務へのシフトや、年間1.2万時間程度の残業時間の削減につなげていきます」(水野氏)

データ活用の高度化という面では、会計と生産・販売・購買系のシステムが統合されたことで、リアルタイム連携が実現した。それによって管理会計の機能が強化され、タイムリーに把握できなかった原価や在庫状況などが瞬時に確認できるようになっている。少量・多品種の生産が多い本多通信工業にとって、在庫管理の適正化につながることはメリットが大きく、今後は月次の販売実績を事前の計画と比較し、PDCAサイクルを回しながら改善につなげていくことも検討しているという。

「すべての処理をSAP S/4HANAの内部で実行することで、精度の高いデータ取得や分析が可能になり、的確な手が打てるようになると考えています」(黒野氏)

海外のグループ会社に横展開し、サプライチェーン全体で持続成長の実現へ

本社へのSAP S/4HANA導入後、2019年2月には国内グループの穂高工場にシステムを横展開した。今後は、海外のグループ会社にも展開していく考えで、現在は中国の深圳工場への導入に向けて検討を始めている。海外展開についても今回のプロジェクトで構築したテンプレートをベースに、アドオン・ゼロを実現したノウハウを活かしながら進めていく予定だ。

国内拠点については、ユーザーの習熟度を高めながら、インメモリーデータベースのSAP S/4HANAの機能を的確に使いこなし、業務の効率化・高度化を推進していくとしている。水野氏は「工場の高度化には、デジタルトランスフォーメーションの推進が欠かせません。今後、SAP S/4HANAと並行してIoTやAIなどの技術を駆使しながら、工場や製造機器の稼動率を高めたり、RPAなどで間接業務を効率化したりすることが求められます。さらには、サプライチェーンを含めた業務全体の改善が必要です。コベルコシステムには、持続的な成長に向けて幅広い面からの支援を期待しています」と話している。

会社概要

本多通信工業株式会社

本社:東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル
創業:1932年5月
設立:1947年6月
資本金:15億175万円
事業概要:電子部品(コネクタ)の製造・販売、システム設計・ソフトウェア開発
https://www.htk-jp.com/

パートナー企業

コベルコシステム株式会社
コベルコシステム株式会社

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