導入事例「DIC株式会社」

DIC株式会社
グローバルの拠点を横断した新たな連結業績管理基盤をSAP BPCで構築
「B-EN-Ggpm」を活用して、より精度の高い経営情報の可視化を実現
印刷インキの製造・販売を出発点に、100年以上にわたる歴史を通じて有機顔料や合成樹脂をベースとした幅広い製品分野のビジネスを展開してきたDIC株式会社。同社ではSAP® BPC(Business Planning and Consolidation)のSAP BPCテンプレート「B-EN-Ggpm(Global Performance Management)」を活用して業績管理軸を細分化し、業務の実態をより正確に反映した精度の高い連結業績管理の基盤を実現した。現在はこの新たな基盤をもとに、多角的なデータ分析に基づく中長期的な戦略立案などへの応用を目指している。
導入製品
・予算管理・連結経営管理ソリューション「B-EN-Ggpm」(SAP BPCテンプレート)
導入の課題
・広範な事業、拠点を横断したグローバル連結業績管理基盤の充実が急務
・Excelベースの手作業に依存していた集計作業の効率化、プロセスの自動化
・より高度なデータ活用、データ経営の実現に向けた情報基盤の整備
導入の効果
・集計作業をSAP BPC上に集約して自動化し、作業時間の短縮を実現
・より細分化された業績管理軸による各製品事業の可視化、改善課題の特定
・単なるデータの集計・管理から、高度な分析およびデータ経営の基盤としてのシステムの進化
導入のポイント
・SAP BPC テンプレート「B-EN-Ggpm」の採用で、導入・開発作業が飛躍的に効率化、短縮化
・グループ各社予算作成から連結業績管理係数作成までの統合的なシステム構築
・B-EN-Gの予算管理・連結経営管理分野における豊富な実績及びノウハウに基づく的確なコンサルティング&サポート

Excelの手作業に依存したプロセスを自動化し、
より細分化された業績管理軸で各製品事業の実態を可視化

金子 潤 氏

金子 潤 氏
DIC株式会社
経理部長

中村 圭佑 氏

中村 圭佑 氏
DIC株式会社
経営企画部 マネジャー

1908年の創業以来、わが国における印刷インキ製造・販売のパイオニアとして知られるDIC株式会社(以下、DIC)。同社では100年以上の歴史を通じてインキの基礎素材である有機顔料や合成樹脂をベースに、自動車、家電、食品、住宅などのさまざまな分野に事業を拡大。現在は印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界トップシェアを誇り、世界64の国と地域に174のグループ会社を通じてビジネスを展開するグローバル化学メーカーである。

2016年にスタートしたSAP BPCを中心とした連結業績管理強化プロジェクトの背景について、同社の経理部長(プロジェクト実行時は業績管理部長)を務める金子潤氏は次のように話す。
「DICグループでは2012年以降、グローバルの各拠点にSAP ERPを段階的に導入し、グループ経営の基盤として活用していますが、拡大を続けるグローバルビジネスにおける連結業績管理をいかに強化していくかは、継続課題の1つでした。SAP BPCの導入を決定した背景には、グローバルの拠点を横断して会計データを統合管理し、より精度の高い意思決定を下すための基盤を構築するという狙いがありました」
金子氏によると、プロジェクトで掲げられた目標には大きく次の3つがあったという。まず、それまでExcelを使って手作業で行っていた会計データの集計作業を自動化し、データの発生から処理・活用までのプロセスを効率化すること。次に、会計項目をより具体的な製品レベルにまで細分化し、業務の実態を正確に把握するための基盤を構築すること。そして最後が、グローバルビジネスで不可欠な高度なデータ活用、およびデータドリブンな戦略立案といった未来の成長に向けた布石を打つことだった。

それまで同社の業績管理業務は、月次の業績集計や予算集計などはすべて各拠点の担当者が手作業でExcelのシートに入力し、それらのデータを本社が集計する「人海戦術」だったと振り返るのは、経営企画部 マネジャーの中村圭佑氏だ。

「予算を例にとると、国内の関係会社はもとより、アジア パシフィック、中国などの海外リージョンに属するすべてのグループ企業は、『予算パッケージ』と呼ばれるExcel シートに数字を細かく入力して、本社に送ってきます。予算パッケージのデータは、大きいもので1ファイルが40シート、10メガバイトもの容量です。さらに、これらを本社のスタッフが手作業で集計し連結予算を作成していました。またその後各社の経理担当が確定した予算をSAP ERPに登録するという二重の作業が発生していました」

こうした煩雑かつ非効率なプロセスを自動化し、各グループ会社が個別に管理していたデータベースを本社に統合することができれば、国内外のグループ会社が実績・予算データを共有できるグローバル・ワンインスタンスのデータベースが出来上がり、連結経営は強化される。これこそが、SAP BPCを導入する最大の目的だった。

SAP BPCの深い知見、DICの事業に対する理解と
開発を大幅に効率化する「B-EN-Ggpm」の提案を評価

中西 功介 氏

中西 功介 氏
DIC株式会社
情報システム部
サービス&ディベロップメント
グループ マネジャー

新たな連結業績管理基盤の導入プロジェクトにおいて、まず課題となったのはDICと共にプロジェクトに取り組む導入パートナーの選定だった。同社は提案を依頼した3社のプランを慎重に検討した結果、最終的にB-EN-Gを導入パートナーに選定した。この点について、情報システム部 サービス&ディベロップメントグループ マネジャーの中西功介氏は次のように説明する。

「RFPではSAP BPCを採用する方針を明確にした上で3社から提案を募りましたが、SAP BPCをベースとした提案で応えてくれたのはB-EN-Gだけでした。さらにSAP BPCの深い知見だけでなく、当社のビジネススキームやプロジェクトの要件を的確に踏まえたソリューション活用を提案してもらえたことは高い評価に値しました」

同様に金子氏も、SAP BPCと同社の事業の両面にわたり、B-EN-Gの理解の深さは競合を大きく上回っていたと評価する。
「連結業績管理のプロジェクトはシステム面でも難易度が高いことに加えて、導入パートナーにとっては要件の把握が非常に難しい分野です。特に今回は、管理項目の細分化が重要なテーマとなっていただけに、当社の事業をいかにしてSAP BPCの機能に落とし込んでいくかという高度な知見が問われます。その意味でも、過去の製造業への導入プロジェクト実績を踏まえてB-EN-Gは適任だと判断しました」

この「業績管理軸の細分化」では、乗り越えなくてはならないハードルもあった。同社では、2006年に会計のレポーティングツールとしてSAP BOFC(SAP BusinessObjects Financial Consolidation)を導入したが、この環境では「製品本部」という枠組みでしか業務の実態を可視化できないことが課題となっていた。今回のプロジェクトでは、もう一段細分化された「製品グループ」単位で把握できるようにすることが必須の目標となっていたのだ。

「現在ある7つの製品本部の階層の下に40前後の製品グループがあるのですが、各製品分野がまったく異なるため、製品本部のPLを見ただけでは業務の実態が把握しにくい点は大きな改善課題でした。そこで製品グループ単位にまで粒度を下げることで、より精度の高い連結業績管理が可能になると考えたのです」(中村氏)

この課題に対してB-EN-Gから提案を受けたのが、SAP BPC用にB-EN-Gが開発したテンプレート「B-EN-Ggpm」だった。予算管理、連結業績管理の豊富な機能がサポートされたこのテンプレートを利用することで、プロジェクトの重要な要件である「製品グループ」単位の項目設定が可能になる。

「このテンプレートの提案を受けたことは、導入パートナーの選定においても決め手になったことは言うまでもありません。連結業績管理の実態に即して開発されたこのテンプレートによって、当社のさまざまな要件をSAP BPC上で実現することができました。開発工数も大幅に削減され、プロジェクト全体をスムーズに進行することができました」(金子氏)

集計の自動化と手作業の解消で業務が飛躍的に効率化
B-EN-Gによるサポートで導入もスムーズに

2018年初頭、SAP BPCによる新たな連結業績管理基盤は無事に稼働を開始した。現在はグループ全体でSAP BPC活用の習熟度をいかに高めていくかが課題だが、DICの社内ではすでにいくつかの導入効果が報告されている。その筆頭に挙げられるのが、やはり予算データの集計作業の自動化、効率化だと中村氏は指摘する。

「Excelシートを本社で集計して、SAP ERPに登録する二重の手間は新システムですべて解消され、大幅な時間短縮が実現しています。また、2019年1月に行われた全社的な組織変更に際しても、予算の組み替えはスムーズに完了できました」

一方、システム運用の面においても、「B-EN-Ggpm」の活用によって省力化や効率化といった効果がもたらされている。たとえば、テンプレートを利用することでカスタマイズの作業は最小限に抑制され、開発・運用の効率は大きく向上している。これを自社でゼロから開発するとしたら、相当な労力と工数が発生していたに違いない。

こうした成果の獲得においては、B-EN-Gのサポートも大きな貢献を果たしている。「新たなソリューションの導入においては疑問や不安がつきものですが、さまざまな質問に対するB-EN-Gの迅速かつ的確な対応は、プロジェクトの成功に大きく寄与しました。運用フェーズに入ってもトラブルが発生していないのは、テンプレートの完成度とB-EN-Gのサポートによるところが大きいと感じています」と中西氏は評価する。

同社の情報システム部門には、現在もSAP BPCに関する新たな知見や技術的なスキル、ドキュメントが次々と蓄積されている。これらは今後のグローバルビジネスを支えるIT運用において、いずれも大きな意味を持つものばかりだ。

新たな連結業績管理基盤から生まれる現場の意識改革
中期経営計画策定においても「B-EN-Ggpm」の効果を期待

SAP BPCによる新たな連結業績管理基盤によって、グローバルビジネスのさらなる拡大に向けた課題の一つをクリアすることに成功したDICでは、自社内においても明らかな変化の手応えを感じている。
「精度の高い連結業績管理というテーマは、かなり以前から全社的に掲げられていましたが、それが何をもたらすのかについての理解が社員間で共有できていないことは、具体的な解決につながらない要因でもありました。今回のプロジェクトが無事成功に至り、より細分化された業績管理軸=個々の製品事業のグループ合計・各社毎の実態が数値で把握できるようになったことで、現場のモチベーションや意識は高まりつつあります。それらをベースに会話や議論を重ねることで、今後はさまざまな課題が解決できるはずです」(金子氏)

現時点では、予算・推定の集計機能を実現した段階だが、DICではより戦略的なデータ活用に向けて、SAP BPCの応用範囲を拡大していきたいと考えている。これまでは確定した売上高と営業利益をまとめ、グループ全体での合計や予実の比較を行うにとどまっていたものを、分析の強化を通じてよりデータドリブンな経営につなげていきたいと、金子氏は展望を語る。

「最終的には、グローバルのすべての事業を統合した上で、その収支構造を分析する仕組みを作り上げたいと考えています。それが実現すれば、計画データの段階で事業の構造上の問題を可視化することができ、事業計画検討のクオリティも大きくレベルアップします。SAP BPCとB-EN-Ggpmは、こうした期待に応えられる十分な基盤だと考えていますし、それによってSAP ERP自体への投資価値も向上します」

一方で中村氏は、一部で残っているExcelシートの手作業による集計処理を早い段階でSAP BPCに移行し、すべての業績管理をシステム上で実現することを当面の目標にしたいという。同社では、毎月連結業績集計データをグループ全体で作成している他に、各社が業務動向を記載したレポートを毎月作成している。ここでも膨大な手作業が発生しているだけに、何とか改善して欲しいという要望が国内外から寄せられているのだ。

「Excelをインターフェイスとして使えるSAP BPCは、各社用のカスタマイズにも柔軟に対応できるため、この特長を活かして月次集計業務の自動化と月報業務のオートメーション化が実現できれば、グループ各社の担当はより付加価値の高い業務に集中できるはずです」

DICでは現在、新たな3カ年の中期経営計画を策定中だ。これはSAP BPCによる新たな連結業績管理基盤が稼働してから初となる中期経営計画であるだけに、金子氏は「グローバルでワンインスタンスのデータベースをどう活用していくかの方向性を見いだしていきたい」と意欲を語る。SAP BPCとB-EN-Ggpmは、今後大きな期待がかかる同社のデータ経営において、ますます優れた価値を発揮していくはずだ。

※所属部署・役職は、いずれも取材当時のものです。(2019年1月取材実施)

導入製品

予算管理・連結経営管理ソリューション「B-EN-Ggpm」(SAP BPC テンプレート)
B-EN-Ggpm
「B-EN-Ggpm」は、SAP BPCを基盤とした連結経営管理プラットフォームとして、単体の予算編成・予実管理・予測(見込み)作成業務と、制度連結・管理連結までを1つのプラットフォーム上で実現するテンプレートである。
グループ視点での経営判断を行うための連結ベースの財務情報・予算・実績に加え、意思決定のスピードアップを支援する最新かつ高品質な予測情報を提供する。
制度連結と管理連結が同一プラットフォームで提供されているため、別々にシステムを構える必要がなく連結業務に対するシステム投資額を抑制する。また各子会社での個別の予算・業績管理システムも不要になり、グループ前代でも投資抑制できる。「B-EN-Ggpm」は、SAP S/4HANA 対応を完了しており、SAP BW/4HANA 対応も実施予定である。
(注)今回紹介したDIC株式会社が導入されたのは、「管理連結」のみです。

会社概要

DIC株式会社

商号:DIC株式会社(DIC Corporation)※旧社名:大日本インキ化学工業株式会社
創業:1908年2月15日(設立:1937年3月15日)
資本金:966億円
従業員数:連結 20,620名/単体 3,538名(2018年12月31日現在)
拠点:国内事業所=本社、2支店、9工場、研究所、美術館
グループ会社数:174社=国内32社、海外142社(2018年12月31日現在)
売上高:8,055億円(2018年12月期)
事業内容:印刷インキ、有機顔料、合成樹脂等の製造・販売
http://www.dic-global.com/ja/

パートナー企業

ビジネスエンジニアリング株式会社
ビジネスエンジニアリング
株式会社

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