- 変化する経営環境を勝ち抜くための
理想のシステムライフサイクル管理とは? -
基幹システムの安定稼働とパフォーマンスの維持は、いまやビジネスの成長を支える重要な経営課題の1つです。単純なシステムの運用管理の枠を越えて、IT戦略の一環として位置づけられるシステムのライフサイクル管理について、その最新ノウハウをユーザーの声を交えて解説します。
ユーザーの主体的な取り組みを通じたSAP Solution Managerの価値向上(1/2)
ALMの実践に向けたSAP Solution Managerの活用可能性
JSUGではすでに、株式会社ユアソフトの三井氏が唱える「実際の運用を通じた情報システムの価値向上」の実現に向けて、SAPが提供するソリューションの活用可能性を検証する具体的な取り組みが始まっています。
2009年にテクニカル部会内に発足したSAP Solution Manager研究ワーキンググループでは、会員企業を対象としたALMに関する意識調査や、さまざまな検証プロジェクト、事例発表などの活動を活発に展開。なかでも2010年の5月から7月にかけて行われたSAP Solution Managerの検証プロジェクトでは、同製品の今後の活用指針ともなる多くの成果が得られています。
SAPのサポート事業本部、共同検証センターCOIL(Co-InnovationLab)の支援をもとに実施されたこのプロジェクトでは、SAP Solution Managerの主要3 機能であるBPMon(Business Process Monitoring:ビジネスプロセス監視)、JSM(JobScheduling Management:JOB管理)、CPS(Central Process Scheduling:ジョブスケジューラ)について、実際のビジネスシナリオに基づく検証が2チームに分けて行われました。2つのビジネスシナリオでBPMonの実効性を検証
1つ目のチームは、鉛の製錬事業を行っている企業を想定し、2つのビジネスシナリオに基づいて、SAP Solution Managerのビジネスプロセス監視機能の実効性を検証しました。1つは、購買管理における購買依頼から発注、入庫、請求書照合、支払までのシナリオ。もう1つは、入庫遅延対応に関するシナリオです。
プロジェクトでは、BPMonだけでも10以上の機能検証が行われ、たとえば、発注漏れの購買依頼伝票を検知する検証では、伝票数をキーに未処理あるいは納入期日超過の購買依頼伝票を検知することが立証され、発注漏れの通知および一覧作成の自動化が可能になることで、業務効率化への期待が持てる結果を得ることができました。
一方、入庫遅延対応のシナリオにおいては、伝票数をキーに一定期間納入日付を超過し、納入数量が納入予定数を下回る購買発注伝票を検知することができました。また、実際の業務を想定した際に、BPMonの利用者であるシステム運用保守担当者が、テクノロジー系と業務系に分かれているケースが多いため、BASISなどのテクノロジー系を別シナリオとして登録したこともポイントです。
これら2つの検証シナリオで、BPMonは有益なビジネスプロセス監視ツールとして、十分な機能を有していることが実証されました。JSM、CPSについても、日本ではいくつかの先行製品はあるものの、それらに決して引けをとらないことが確認できました。
一方、プロジェクトではSAP Solution Managerに対する改善提案もなされました。多機能であるがゆえに複数機能間での設定が煩雑となり、操作の習熟にはそれなりのハードルがあること。また、SAP Solution Managerワークセンターのメニュー画面を、もう少し分かりやすくして欲しいといったリクエストもありました。こうしたユーザーの声は、今後の開発課題としてSAP AGにも順次フィードバックされる予定です。
検証全体の総括としては、参加メンバーから以下のようなコメントが寄せられています。
「BPMonは、システム運用の標準化・自動化を行っていく上で、十分に役に立つと想定できます。今後、ユーザーのオペレーションのチェックにつなげていけることを期待しています」(株式会社ユアソフト 楢木仁氏)
「慣れてしまえば設定は容易な機能であり、BPMon標準パラメータの定義のみで、ある程度の監視設定が可能であることに加え、ビジネスプロセスの概念を多少でも理解していけば、アプリケーションに限らず、BASIS的な監視設定も可能です。従来の監視ツールでは実現できない機能も多く、運用設計・方針をきちんと定めることができれば、非常に有効な機能であるといえます」(株式会社NTTデータウェーブ 小林祐也氏)
「購買発注明細の期限超過に象徴されるように、システムに起因する異常のみならず、業務処理上の問題に起因する異常の検知など、これまでとは目的が異なる監視機能が実装されているのは画期的です。また、いままでアドオンプログラムやバックグラウンドジョブなどで監視していた機能が実現できるようになっているので、追加開発コストの軽減にもつながるのではないかと期待しています」(株式会社ユアソフト 原啓輔氏)







